片言(読み)カタコト

デジタル大辞泉 「片言」の意味・読み・例文・類語

かた‐こと【片言】

語られる言葉一部分。へんげん。「片言も聞きもらさない」
幼児外国人などの話す、たどたどしい不完全な言葉。「片言英語を話す」
なまり・俗語方言など、標準から外れている言葉。
「さるといふをはるといふ、すべて―は察し給へ」〈人・梅児誉美・初〉
[類語]喃語

へん‐げん【片言】

わずかな言葉。ちょっともらした言葉。片語。「片言もゆるがせにしない」
一方の人の言葉。片方の言い分。

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精選版 日本国語大辞典 「片言」の意味・読み・例文・類語

かた‐こと【片言】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 語形、発音、言いまわし、使い方などが不完全、不正確なことば。また、不完全、不正確なために意味のよく通じないことば。へんげん。
      1. (イ) 小児など言語が未発達なもののことばについていう。
        1. [初出の実例]「ここなる人かたことなどするほどになりてぞある」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
      2. (ロ) 地域や階層が違って、その地域や階層でだけ通用することば。標準的なことばから外れている場合についていう。なまりのあることば。訛音(かおん)訛語(かご)
        1. [初出の実例]「道大路行交ひの賤の男どもも、かたことうちまぜ」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)一)
      3. (ハ) 外国語を不完全に、また、単語など短いことばを話す場合についていう。
        1. [初出の実例]「英語箋の片言隻語原語(カタコトげんご)を一個二個誦へしとて」(出典開化のはなし(1879)〈辻弘想〉初)
      4. (ニ) 一般的に、不完全、不正確なことば。
        1. [初出の実例]「たんざくなどにかたことかきたるはなをみにくし」(出典:めのとのさうし(14C中か))
    2. 一方だけの言うことば。片口(かたくち)
  2. [ 2 ] ( かた言 ) 江戸前期の方言俚語辞典。五巻。安原貞室編。慶安三年(一六五〇)刊。愛児の標準語教育に資するために編まれたもの。京言葉中心に方言・訛語の類を項目別に集めて正形と対照させ、語に応じては語源に触れ、批判を述べる。「かななほし」「かたことなほし」とも。

へん‐げん【片言】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ただ一言。わずかなことば。かたこと。片語。
    1. [初出の実例]「一句一偈、超満界之財、片言片字、誰忘捨命之恩」(出典:性霊集‐一〇(1079)秋日奉賀僧正大師讚)
    2. [その他の文献]〔陸機‐文賦〕
  3. 一方の人のことば。片方の言い分。
    1. [初出の実例]「片言 讒邪分 ヘンゲン」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
    2. 「片言(ヘンゲン)耳にさかふれば」(出典:高野本平家(13C前)四)
    3. [その他の文献]〔論語‐顔淵〕

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普及版 字通 「片言」の読み・字形・画数・意味

【片言】へんげん

ひとこと。晋・陸機〔文の賦〕片言を立てて以てに居(お)く、乃ち一策(きやうさく)なり。

字通「片」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「片言」の意味・わかりやすい解説

片言
かたこと

安原貞室著。全5巻。慶安3 (1650) 年成立刊行。自分の子供の教育上の目的で,当時の京都における「片言」を集めたもの。子供の訛語が中心であるが,方言にも言及し,それらに対する正しい規範的な言い方をあわせ記している。京都方言の史的研究上貴重な資料。『浮世鏡』 (88?,著者未詳) は本書補遺として出されたものである。

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