営田(読み)エイデン(英語表記)yíng tián

デジタル大辞泉 「営田」の意味・読み・例文・類語

えい‐でん【営田】

奈良平安時代の土地耕作の形態朝廷が耕作させた公営田くえいでんと、民間開墾した私営田がある。

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精選版 日本国語大辞典 「営田」の意味・読み・例文・類語

えい‐でん【営田】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 田を営み作ること。農業を営むこと。〔南史‐江秉之伝〕
  3. 古代土地制度における耕田の形態の一つ官府が耕作させた公営田(くえいでん)と、私費で開墾した私営田とがある。
    1. [初出の実例]「今営田貴賤、元春三箇月之間、苗子下共競作為常」(出典:東南院文書‐天平宝字二年(758)正月一二日・越前国坂井郡司解)

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改訂新版 世界大百科事典 「営田」の意味・わかりやすい解説

営田 (えいでん)
yíng tián

中国,唐・宋時代の官田経営の一形態。辺境地帯で軍粮確保のために兵に耕作させる屯田に対し,営田は民を募集して耕作させ,州県の財政に充てるのをいったが,軍粮生産を目的とする場合も多く,両者区別は必ずしも厳密ではない。兵屯に対し民屯の意にも用いられる。はじめ華北に多く,南宋になると金との国境線に沿って数多くおかれた。はじめ営田務がおかれ営田使が管轄したが,宋に入って営田が官の荘園として経営されるようになると,土豪層が監荘に充てられ,県知事・県尉が総監し,路の転運使に所属した。営田官荘は佃戸制経営が行われて,1荘5頃(けい),5家で1甲を組織,甲頭が置かれた。家屋・耕牛・農具・種子食糧などを支給され,収穫は官4,佃戸6,ないしは折半であった。しばしば政策として営田が売り出されたが,豪民がこれを買い入れて豪民侵食の対象となり,大土地所有拡大の契機となった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「営田」の意味・わかりやすい解説

営田
えいでん

中国・日本古代の官による田地耕営。地方官が農民を募集して荒れ地を開墾耕作させ、収穫の半分ないし大部分を官の手に収めた。兵士による屯田と区別されたが、いずれも官営田として共通性があり、名称の混同もみられた。中国では南北朝時代から、唐、宋(そう)にかけて行われ、唐代では州の長官や節度使が営田使を兼ね、のちには中央の戸部の営田務が管轄した。唐後期以降に置かれた官荘も営田と似た性格をもつ。北宋の北西国境地方では、民兵の弓箭(きゅうせん)手を営田に使役した例もある。

 日本では平安時代初期の9世紀に公営田(省営田、国営田を含む)が行われるとともに、王臣勢家、国郡司、富農による農地開発も私営田とよばれた。

[池田 温]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「営田」の意味・わかりやすい解説

営田
えいでん
ying-tian; ying-t`ien

中国の官田の一種。兵士に割当て耕作させるものを屯田と呼ぶのに対し,一般農民に耕作させる官田を営田と呼んだが,両者は混同もされた。官田を農民に耕させることは漢代の仮田にさかのぼるが,営田は唐・宋時代に多く用いられ,元・明時代には民屯となった。唐中期には節度使が営田使を兼ね,唐後期に一時戸部直属となり,宋代には諸路転運使安撫使が多く兼ねた。農民からおおむね収穫の半分を徴収して軍糧にあてた。

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普及版 字通 「営田」の読み・字形・画数・意味

【営田】えいでん

田を作る。屯田。唐・杜甫〔兵車行〕詩 或いは十五より、北のかた河に防ぎ (すなは)ち四十に至るも、西のかた田を營む

字通「営」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の営田の言及

【屯田】より

…辺境や新開地あるいは戦乱災害等による荒廃地に,兵士もしくは移住民を招来し開墾耕営に従事させ,収穫を官に納めて軍糧に供し,あるいは蓄積に充て,住民の安定と国庫の充実をめざす中国歴代の土地政策,またその耕地をいう。主体が兵士によるものを軍屯,一般民を主とするものを民屯とよび,唐・宋代には営田の語も互用された。屯田は官田の一種であり,屯兵・屯民にはおおむね一定面積が割り当てられ,種子,役畜,農具は官給,収穫の大部分を官収するのを基本とするが,年を経て家族をもち定着するにつれて田地私有化の傾向を生じ,民田に移行することが多かった。…

※「営田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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