愛媛県
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
剣山山系とも称する。石鎚山系とともに四国山地の骨格をなす山嶺で,石鎚山系と並行して四国の中央部を東西に走る。この山系の北境は御荷鉾(みかぶ)構造線,南境は仏像-糸川構造線で,両構造線で境される秩父帯が山体をつくり,おもに古生層からなるが,中生代の地層も断続的に分布している。主峰は徳島県にある剣山(1955m)で,これを中心に丸笹山(1712m),赤帽子山(1611m),丸石(1684m),一ノ森(1880m)などの高峰が連なっている。山頂には平たん面が残存し,早壮年期の地貌を呈する。ミヤコザサが密生する山頂付近は〈平家の馬場〉と呼ばれ,落人伝説を残す。丸笹山に至る鞍部が〈見ノ越〉(1400m)で,大剣神社があり,北側の貞光町(現,つるぎ町)からのドライブウェーや穴吹川沿いの自動車道,および西側からの祖谷(いや)川沿いの自動車道がここで会合する。
執筆者:相馬 正胤
剣山はもとは石立(いしだて)山とよばれていたが,頂上にある宝蔵石という巨石の下に安徳天皇の剣を奉納して以来〈つるぎさん〉とよぶようになったという。剣山は7世紀に役行者(えんのぎようじや)が開いたと伝えられるように,古くから修験道の霊山とされ,近年まで女人禁制が守られ,現在も先達に導かれた多くの信者が登拝する信仰の山となっている。剣山はその東西で信仰の趣が異なる。東側は剣山竜光寺が信仰の中心である。この寺は815年(弘仁6)に弘法大師が四国八十八ヵ所霊場を開いた際に総奥の院として建立したと伝えられる。毎年7月中旬の夏季大祭は護摩焚きと神輿の山中練歩きでにぎわう。竜光寺の上には素戔嗚(すさのお)尊と安徳天皇をまつる剣山本宮がある。山の西側は大剣神社と円福寺が信仰の中心で,大剣神社には素戔嗚尊,安徳天皇,大山祇(おおやまつみ)命がまつられ,八合目の奥の院の拝殿ともなっている。
執筆者:飯島 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
四国山地の東部を占める山地。主として秩父中・古生層からなる。最高峰の剣山(1955メートル)を中心に、塔丸(とうのまる)、天神丸などの山々が東西に連なる。徳島県の主分水嶺(ぶんすいれい)をなし、北部の祖谷(いや)川、貞光(さだみつ)川、穴吹(あなぶき)川、南部の勝浦川、那賀(なか)川などの水源となっている。北斜面は谷が深く、畑作中心である。阿波(あわ)山岳武士の拠点であり隠田(おんでん)集落もみられた。南斜面は降水量が多く、林業依存度が高い。
[高木秀樹]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…四国の中央部をほぼ東西に走る山地。一般には中央構造線以南の外帯山地をさし,石鎚(いしづち)山脈,剣(つるぎ)山地を脊梁とし,標高1000mをこえる山地が大部分を占めている。東端は紀伊水道,西端は豊後水道に臨み,それぞれリアス海岸を形成している。…
※「剣山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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