回春(読み)カイシュン

精選版 日本国語大辞典 「回春」の意味・読み・例文・類語

かい‐しゅんクヮイ‥【回春】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 再び春が巡ってくること。年が改まること。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    2. 若返ること。
      1. [初出の実例]「両夫婦は回春(クヮイシュン)の思いを為して」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉六六)
    3. 病気がなおること。快癒(かいゆ)
      1. [初出の実例]「更笑先生亦病貧、治貧薬不回春、久悲銅脈難通用、何故金箱能得親」(出典:狂詩・二大家風雅(1790)答惚先生見寄)
    4. 浸食輪廻がある段階まで進行したまま中断していた河川が、再び下方浸食を活発化すること。若返り。
  2. [ 2 ] 中国、明代の龔廷賢(きょうていけん)の著わした医書「万病回春」のこと。
    1. [初出の実例]「読み置く医書は何々ぞ。〈略〉難経、くいしゅん、医学正伝」(出典:仮名草子竹斎(1621‐23)下)

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普及版 字通 「回春」の読み・字形・画数・意味

【回春】かい(くわい)しゆん

病気が復する。若返る。春となる。宋・軾〔浪淘沙、探春〕詞 昨日、東を出で、試みに春を探る 牆頭の紅杏、に傾くが如し 檻の群未だ吐かざるも 早く已に回春せり

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「回春」の意味・わかりやすい解説

回春
かいしゅん

河谷が河食輪廻(りんね)の進行によってある段階にまで発達したのちに、なんらかの原因によって輪廻の進行が中断され、輪廻の出発点に戻ってふたたび下方侵食が活発化し、幼年谷を発達させること。侵食の復活、若返りともいい、回春のおこった川を回春川という。

 地盤隆起傾動撓曲(とうきょく)などの地殻変動によって河床勾配(こうばい)の増大や侵食基準面の低下がおこった場合、回春の原因となる。海面低下も地盤の隆起と同じ効果をもたらす。そのほか、河川争奪や気候変化に起因する流量の増大、気候変化や火山活動の消長に伴う川の運搬荷重の減少、湖沼や硬岩層などの局部的侵食基準面の消失なども回春の原因となる。河成段丘、遷移点は回春により生ずる。

[髙山茂美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「回春」の意味・わかりやすい解説

回春
かいしゅん
rejuvenation

浸食作用が復活する現象。地形の若返りともいう。浸食輪廻によって地形が変化していく過程のなかで,地殻運動や気候変化などが起って浸食過程が中断され,新しい条件のもとに浸食,特に下刻が強くなること。回春が起ると,これまでの浸食輪廻は中絶され,新輪廻が始る。回春地形は複輪廻の地形。浸食を復活した河川を回春川,その現象を川の若返りという。遷移点河岸段丘,谷壁階段,穿入蛇行谷,先行谷,谷中谷 (こくちゅうこく) などは回春地形の例。

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世界大百科事典(旧版)内の回春の言及

【不老不死】より

…【飯島 吉晴】
[西洋]
 不老と不死とは必ずしも同質的問題ではない。老人として永遠に生きつづける形式の不死もあり,また回春あるいは極端な場合は死の試練を経ることにより不老を達成することもありうるからである。この例にフォイニクス(不死鳥)の神話や〈若返りの泉〉伝説がある。…

※「回春」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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