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国権論 こっけんろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国権論
こっけんろん

明治時代のナショナリズム思想で,国家独立維持に価値をおく主張。明治初年以来,政府,民権運動いずれの側にも日本の国権確立し,独立を保持するという目標が掲げられていた。しかし 1890年代に思想界は分極化し,民権論を切捨てて帝国主義的発展を主張する「国権論」が登場した。その唱道者は,徳富蘇峰山路愛山竹越与三郎上杉慎吉らであった。特に平民主義から転向した徳富蘇峰は,政党政治を否定し,軍事力の強化によって日本帝国主義の直面する困難な課題を解決せよと主張した。

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デジタル大辞泉の解説

こっけん‐ろん〔コクケン‐〕【国権論】

明治初期から中期にかけて、民権論に対し、国家の独立・維持を第一義とした思潮不平等条約改正という国民的課題をかかえる状況の中で広く支持され、やがて国家主義や対外膨張主義へと傾いていった。

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百科事典マイペディアの解説

国権論【こっけんろん】

明治前半期の政治思想用語。〈民権〉の対語で,国家の権力(国権)が強化されてこそ人民の権利・自由(民権)が保たれると主張。内政では人民の基本的権利抑制,対外的には欧米との不平等条約解消,征韓論などとして現れる。
→関連項目改進党国民新聞

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世界大百科事典 第2版の解説

こっけんろん【国権論】

明治前半期の政治思想用語。国権主義と同一に用いられる。国権とは国家の権力または国家の統治権を意味するが,明治維新後,〈民権〉の語とともに,これに対抗する形で登場した。また,内治派に対して国権派などとも使用された。民権論が,人民の権利や自由が保障されて初めて国家の権力が強化・伸張される,としたのに対して,国権論は,国家の権力が強化されてこそ人民の権利や自由が保たれる,と主張するものである。しかし,国権論と民権論は必ずしも図式的に明分した形で展開されたわけではなかった。

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大辞林 第三版の解説

こっけんろん【国権論】

国家権力の対外的独立と確立を主張する論。明治期、不平等条約の改正などをめざして、民権論と関連しつつ主張された。日清戦争後は国家の対外的拡張に重点が移り、国家主義・日本主義へと傾斜していった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国権論
こっけんろん

明治時代のナショナリズム思想で、国家独立の権利を主張する論。19世紀における欧米列強の東アジア侵略という国際環境のなかで、これら列強の圧力下で結ばれた不平等条約を改正し、国家の独立を維持することは明治期の国民的課題であったから、国権論は政府、民間を問わず広く支持された。自由民権運動は、国家間の対等独立は個人の自主独立によって基礎づけられるとの考えにたち、国家に対する個人・国民の自由権利の確立、つまり民権の確立こそ国権確保の前提であると主張した。これに対し明治政府は、富国強兵のスローガンを掲げ、国家あっての個人との考えにたって、民権に対する国権の優位を主張した。民権運動の衰退に伴い国権優位論が高まり、内にあっては人権や自由を制限して国家権の拡大を当然とする国家主義、外に対しては国家の独立を超えて膨張主義、侵略主義を是認する強大国志向が喧伝(けんでん)されるようになった。[松永昌三]

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