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国際ゴシック様式 こくさいゴシックようしきInternational Gothic

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国際ゴシック様式
こくさいゴシックようしき
International Gothic

1360/70年頃~1420年頃に,ヨーロッパのおもな王侯貴族の宮廷を中心に興った美術の様式。地方によって多少趣を異にするとはいえ,いずれも観念的幻想的要素と,こまやかな自然の観察が微妙に混り合い,宮廷的繊細華麗な趣にあふれている。一面ではルネサンス美術を予告しつつも,本質的には爛熟した「中世の秋」の結実である。 14世紀前半にイタリアのフィレンツェ,シエナで形成された新しい造形原理がヨーロッパ各地で摂取されたことが,その出発点である。最大の中心地はフランス国王の宮廷のあるパリで,ここで 13世紀以来一層繊細の度を加えてきた純正なゴシック伝統とイタリア芸術の出会いが起った。たとえば J.ピュセル作の『ジャンヌ・デブルーの時祷書』など。さらにブルゴーニュ,ベリー,アンジューなどを領したフランス大貴族の宮廷で,特にブルゴーニュ公の彫刻家 C.スリューテル,ベリー公の細密画家ランブール兄弟が活躍した。これら芸術家はいずれもフランドル出身で,このため彼らを総称してフランコ・フランドル派という。次に重要なのは神聖ローマ皇帝カルル4世のプラハの宮廷である。パリで教育を受け,イタリアとも深いかかわりをもち,ドイツ皇帝であった彼は,ドイツの建築彫刻家パルラーやイタリアの画家トマーゾ・ダ・モデーナなどを招き,文化の華を開かせた。この様式は 1400年頃からイタリアにも及び,ルネサンス前夜に,ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノや L.ギベルティのような傑出した芸術家を生んだ。

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世界大百科事典 第2版の解説

こくさいゴシックようしき【国際ゴシック様式 International Gothic Style】

1370年ごろから1420年ごろにかけてヨーロッパ各地で制作された,絵画を中心に彫刻,工芸に共通してみられる様式。ゴシック様式が北フランスのイル・ド・フランスからヨーロッパ各地に伝播し13世紀に定着した後,14世紀中葉から複数の中心地の間で一方的影響ではなく,相互交流が頻繁となって均質な傾向が形成された。この成立経過の国際性から,〈国際ゴシック様式〉との呼称が生まれた。19世紀末にフランスの美術史家クラジョL.Courajodが,1400年ごろのヨーロッパ美術の〈国際的傾向〉として〈普遍的ゴシック性gothicité universelle〉を認めたのがはじまりである。

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世界大百科事典内の国際ゴシック様式の言及

【アビニョン】より

…【樺山 紘一】
[美術]
 教皇庁が移された結果,1340‐50年ころにかけて,イタリアの画家マルティーニ,ジョバネッティMatteo Giovanetti(生没年不詳)などが相次いで招かれて移り住み,教皇宮殿(ジョバネッティなどがその壁画装飾にあたる)を舞台に,イタリア文化が花開いた。ここに移植された初期ルネサンス美術は,外交使節を通じてヨーロッパ各国の宮廷に伝播し,やがて国際ゴシック様式を生むことになる。市内には中世の彫刻から,クールベら近代絵画までを収蔵するカルベ美術館がある。…

【ゴシック美術】より

…さらにその奥行きのある空間構成は,やがて科学的透視図法に発展する源であるが,まもなく西ヨーロッパ全体にひろまって,板絵やミニアチュールにとりいれられる。マルティーニが晩年アビニョンの教皇庁に招かれたことは,この南北様式の融合を促進し,14世紀後半から15世紀初めにかけて全ヨーロッパ的流行を見せる国際ゴシック様式の誕生となった。 ここで14世紀祭壇画が重要な部門として現れ,ステンド・グラスやミニアチュールに代わるべき主導的地位を得ていくのであるが,その板絵のテンペラ技法は時代の繊細優美な趣向にも応じ,また写実的な視覚をも育成させる。…

【シエナ派】より

…この時期のシエナ派絵画は,フィレンツェ派と並んで,イタリア各地に強い影響を及ぼした。シモーネにつづいてメンミLippo Memmi(1317‐46活動),ロレンツェッティ兄弟(ピエトロおよびアンブロージョ)が現れ,ピエトロはよりドラマティックな表現を得意とし,逆にアンブロージョの華やかな色彩と繊細な感覚とが,14世紀末から開花する国際ゴシック様式への道を準備する。15世紀のシエナ派は前世紀ほどの隆盛と影響力を見せなかったが,のちにフィレンツェで活躍するL.モナコは敬虔で魅力ある宗教画を描き,サセッタ,ジョバンニ・ディ・パオロ,サーノ・ディ・ピエトロSano di Pietro(1406‐81)らは流行の国際ゴシック様式に,シュルレアリスムを想起させる幻想的な雰囲気を添えた。…

※「国際ゴシック様式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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