たとえば,公道から自分の土地に出入りするために他人の土地を通行したり,他人の土地に湧く水を自分の土地に引くなどの形で,特定の土地(要役地)の便益のために他人の土地(承役地)を利用する物権をいう(民法280~294条)。地役権は要役地にとっては利用度の拡大を,承役地にとっては負担を意味する。地役権は,要役地と承役地の両所有者(または地上権者等)間の契約によって生じる。通行や引水は,他人の土地の賃貸借や使用貸借のような債権契約によっても可能となるが,地役権は物権であるので,登記することによって,承役地譲受人に対抗しうるなど強い効力をもつ。地役権は,継続かつ表現のものに限って時効取得することができる(283条)。判例によれば,通行者がみずから通路を開設して通行していると,善意・無過失ならば10年,悪意または善意・有過失の場合20年で時効取得できる(162条参照)。
執筆者:沢井 裕
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ある土地の利用のために他の土地を一定の方法で支配する用益物権(民法280条以下)。たとえば、甲地(要役地)を利用するために、乙地(承役地)を通行したり、乙地から水を引いたり、あるいは乙地に高い建築物を建てさせなかったりする権利である。地役権は契約(設定行為)によって設定されるのが原則であるが、通行地役権のように権利内容の実現が継続的で、かつ外部から認めることのできる地役権は時効による取得が可能であり(民法283条)、実際にそのようにして取得されることも多い。地役権者は地役権設定の登記をすれば、承役地の所有者がかわっても、地役権を主張できる。他人の土地の利用は、その土地を借りることによっても可能であるが、この方法によれば、他人の土地を通行したり、そこから水を引いたりする目的だけで他人の土地の一部を利用したいときであっても、その土地全部を借りなければならない。これに対して、地役権を設定する方法によれば、必要な限度において他人の土地を利用することができる。この点にその独特な作用がある。
[高橋康之・野澤正充]
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