他人の物を一定の目的のために使用,収益する権利のうち,物権たるものを用益物権という。民法では地上権(265~269条ノ2),永小作権(270~279条),地役権(280~293条),および共有の性質を有しない入会(いりあい)権(294条)の4種類が認められている。これらの用益物権はいずれも他人の土地に対する権利である。土地以外の物に対しては,賃貸借や使用貸借(無償の場合)など,債権による権利以外にはない。
用益物権は債権の場合と異なって,土地所有者の交代による影響を受けず,しかも所有者の承諾なしにその権利を譲渡することができる。しかし権利の対抗要件として登記が必要である(入会権を除く)。債権である賃借権にも登記による対抗力が認められているが,登記請求権がなく事実上その権利を登記できないため,所有者の交代により権利を否認されることもある。そのため,借地法,借家法,農地法等で,建物所有・耕作のための土地の賃貸借,建物の賃貸借には第三者の対抗力など物権に近い効力が認められている。
→物権
執筆者:中尾 英俊
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