垢離(読み)コリ

デジタル大辞泉 「垢離」の意味・読み・例文・類語

こり【×垢離】

《「かわお(川降)り」の音変化か。「垢離」は当て字神仏への祈願祭りなどの際、冷水を浴び身を清めること。水垢離。→みそぎ
[類語]水垢離寒垢離沐浴

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精選版 日本国語大辞典 「垢離」の意味・読み・例文・類語

こり【垢離】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「垢離」はあて字で「川降(かわお)り」の変化したものともいう ) 神仏に祈願する時、冷水を浴びてからだのけがれを除き、身心を清浄にすること。真言宗修験道(しゅげんどう)からおこった。水ごり。
    1. [初出の実例]「あらたなる熊野詣でのしるしをば氷のこりに得べき成けり」(出典:山家集(12C後)下)

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改訂新版 世界大百科事典 「垢離」の意味・わかりやすい解説

垢離 (こり)

水の祓浄力を利用して,不浄をとり去る行為をいう。垢離という場合は,仏事を前にして川に入り,洗浄すると理解されている。神道では,一般にみそぎ)することであり,垢離と禊は,同じ心意の上に成り立っている。《古事記伝》では,垢離を川降りの義だとしている。すなわち,川辺にでて,水を浴びることにより,身体に付着した不浄なものいっさいを,川水に流してしまうと考えられている。垢離の語は,《無量寿経》が出典であり,尊者または清僧となるための修行者に課せられた儀礼であった。これが転じて,一般の人々が神仏に祈願するとき,心願が通じるように念じて,水を浴びる形態となった。千(せん)垢離とか万(まん)垢離というのは,数多く水を浴びれば,願がかなうものと考えられた呪術である。また寒垢離は1年間の寒の時期に限って,垢離をとると,もっとも効果があると考えられた行為である。江戸大山(おおやま)詣は,隅田川岸で垢離をとって参詣することで知られていた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「垢離」の意味・わかりやすい解説

垢離
こり

水にて身心の罪穢(つみけがれ)を除き清めるための行為。水垢離(みずごり)、垢離掻(こりかき)などともいう。神仏に詣(もう)でるときや祈願に先だって、水を浴びて身心を清めるもので、禊(みそぎ)の一種。滝や川などで行われることが多い。古くから和歌山県の熊野三社に詣でる熊野詣での垢離をはじめ、富士行者修験(しゅげん)者などの間に多く行われている。山岳信仰における登拝は、もとは男子のみであったが、第二次世界大戦後は愛媛県の石鎚(いしづち)山その他で女子の登拝が許され、女子の垢離も行われるようになった。垢離をとるときは、裸体または白衣を着用する。垢離の起源は、記紀神話に、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、濁穢(けがれ)を除くために禊祓(みそぎはらい)をしたとある故事によるのであろう。

[沼部春友]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「垢離」の意味・わかりやすい解説

垢離
こり

仏教用語。水で清めてあかを取去ること。山伏や修験者が神仏に祈願するとき,冷水や海水を浴びて身を清めることをいう。

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普及版 字通 「垢離」の読み・字形・画数・意味

【垢離】くり

水ごり。

字通「垢」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の垢離の言及

【あか(垢)】より

…水あか,湯あかなどもその例である。神仏に祈る際,冷水を浴びて垢離(こり)をとれば心身が清くなるとした。あかはけがれたものだから,伊弉冉尊(いざなみのみこと)から逃げ帰った伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉(よみ)の国で汚れた身体の禊(みそぎ)をしたとき,八十禍津日神(やそまがつひのかみ)と大禍津日神(おおまがつひのかみ)が生まれた。…

※「垢離」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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