デジタル大辞泉
「塗」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ぬ・る【塗】
〘他ラ五(四)〙
※
古事記(712)上「母
(おも)の乳汁
(ちしる)を塗りしかば」
※虎明本狂言・鏡男(室町末‐近世初)「お白粉をぬり、べにをぬりつけ」
② 土、
漆喰などをなすりつけて、塀・壁・壇などを築造する。
※
源氏(1001‐14頃)
夕霧「しん殿とおぼしきひんがしのはなちいでに、すほうのたんぬりて」
※
太平記(14C後)三「本より屏を二重に塗
(ヌッ)て、外の屏をば切て落す様に拵たりければ」
③
自分の罪や責任を関係のない人に負わせる。なすりつける。
※四座役者目録(1646‐53)下「知らぬ事丹後にぬり被仕」
ぬり【塗】
① ぬること。ぬった物。また、ぬったさま。ぬりかた。
※舜旧記‐慶長一五年(1610)一二月二〇日「〈予〉金灯台〈塗也〉二つ令二持参一」
② 特に、漆塗りのこと。多く、「ぬりおけ」「ぬりがさ」など、他の語と複合して用いる。
まみ・れる【塗】
〘自ラ下一〙 まみ・る 〘自ラ下二〙
① 血、汗、泥、ほこりなど、きたないものが
一面についてよごれる。
※
大和(947‐957頃)一四六「血にまみれたる男、まへに来て」
② おちぶれた
状態、けがれた
境遇などに陥る。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
まぶ・る【塗】
※
和英語林集成(
初版)(1867)「ダンゴニ サトウヲ maburu
(マブル)」
まぶ・す【塗】
〘他サ五(四)〙 (粉などを)物の表面にまんべんなく付着するようにする。まみれさせる。まぶる。
※玉塵抄(1563)
一一「
孔子の吾が行う
儒道の仁義五常のみちはなにときたないどろ土にまぶせどもくろうならぬぞ」
※仮名草子・
東海道名所記(1659‐61頃)三「わらびもち〈略〉豆の粉をまぶして」
まび・れる【塗】
※或る女(1919)〈有島武郎〉後「埃にまぶれ汗にまびれて」
まぶ・れる【塗】
※玉塵抄(1563)二五「ちりほこりにまぶれてあるく」
まめ・る【塗】
〘自ラ四〙 物が一面につく。まぶされる。まみれる。
※日葡辞書(1603‐04)「ドロニ mameru(マメル)」
まめ・す【塗】
〘他サ四〙 まみれさす。一面に塗りつける。まぶす。
※観智院本三宝絵(984)下「栴檀香をもちてそのうへにまめしちらして願をおこしてさりぬ」
ま・みる【塗】
〘自マ上一〙 一面につく。まみれる。
※窮死(1907)〈国木田独歩〉「頭は血にまみて居た」
まみれ【塗】
〘語素〙 (動詞「まみれる(塗)」の連用形から) 他の語の下に付いてそのものがついたりしてよごれる意を表わす。「汗まみれ」「血まみれ」「泥まみれ」など。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の塗の言及
【道】より
…前者では頭を前に向けて進む方向の意だが,後者をとると道路の通過する城壁の門下などに犠牲(いけにえ)の首を埋めこむ呪詛的行為とも解される。なお道と同様に使われる路(横の連絡みち)や塗(土をおしのばし固めたみち)も関係が深い。道が祓除の場であり,聖なる空間として認識されたという想定は,祖道と称し,[道祖神]をまつることともつながる。…
※「塗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」