塩化バリウム(読み)エンカバリウム(その他表記)barium chloride

デジタル大辞泉 「塩化バリウム」の意味・読み・例文・類語

えんか‐バリウム〔エンクワ‐〕【塩化バリウム】

重晶石木炭塩化カルシウム混合物赤熱して作る、白色結晶。水によく溶ける。媒染剤・皮なめし・分析用試薬に使用化学式BaCl2

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精選版 日本国語大辞典 「塩化バリウム」の意味・読み・例文・類語

えんか‐バリウムエンクヮ‥【塩化バリウム】

  1. 〘 名詞 〙 ( バリウムは[英語] barium ) 塩素とバリウムとの化合物。化学式は BaCl2 無色の結晶で有毒。バリウム塩の製造レーキ顔料、媒染剤、殺鼠(さっそ)剤、殺虫剤、分析用試薬などに用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「塩化バリウム」の意味・わかりやすい解説

塩化バリウム (えんかバリウム)
barium chloride

化学式BaCl2。重晶石BaSO4粉末,木炭,塩化カルシウムの混合物を赤熱してから熱湯で抽出し,不純物を除いたのち結晶を析出させると得られる。

 BaSO4+4C+CaCl2─→BaCl2+CaS+4CO

炭酸バリウム塩酸の反応でも得られる。飽和水溶液から常温で析出するのは2水和物BaCl2・2H2Oで,これは平たい四角形の無色結晶である。125℃で無水和物BaCl2となり,中間の温度(60℃)では1水和物BaCl2・H2Oが生ずる。これらも無色の結晶で,無水和物は融点962℃,沸点1560℃,比重d24=3.85,20℃で100gの水に36g溶け,潮解性ではないがわずかに吸湿する。有毒。レーキ顔料,媒染剤などの原料とし,また硫酸イオンの定性・定量分析用試薬,他のバリウム塩の合成原料として用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化バリウム」の意味・わかりやすい解説

塩化バリウム
えんかばりうむ
barium chloride

バリウムと塩素の化合物。以前は重晶石(硫酸バリウム)を塩化カルシウムと溶融して製造していたが、現在では硫化バリウム溶液と塩酸との反応によっている。飽和溶液から常温で無色の扁平(へんぺい)な結晶、または粉末状の二水和物が析出する。二水和物はわずかに吸湿性をもつ。これは121℃で無水和物に変わる。無水和物は常温では単斜晶系の結晶であるが、転移点925℃で等軸晶系に変わる。水に溶けやすいが、エタノールエチルアルコール)やアセトンには溶けない。レーキ顔料、バリウム塩の原料、ボイラー用水の軟化剤などのほか、分析試薬としても用いられる。

[鳥居泰男]


塩化バリウム(データノート)
えんかばりうむでーたのーと

塩化バリウム
  BaCl2
 式量  208.2
 融点  962℃
 沸点  1560℃
 比重  3.85(測定温度24℃)
 溶解度 36g/100g(水20℃)

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化学辞典 第2版 「塩化バリウム」の解説

塩化バリウム
エンカバリウム
barium chloride

BaCl2(208.24).炭酸バリウムを塩酸に溶かして濃縮すると二水和物が得られる.二水和物を加熱すると一水和物を経て113 ℃ で無水物となる.無水物は低温で単斜晶系.密度3.89 g cm-3.925 ℃ で等軸晶系に転移する.融点963 ℃,沸点1560 ℃.水によく溶けるが潮解性はない.二水和物は無色の偏平な四角形の単斜晶系結晶.密度3.097 g cm-3.水に易溶,エタノールに難溶,アセトンに不溶.レーキ顔料,金属の熱処理剤,バリウム塩の製造,殺そ剤,殺虫剤,皮なめしなどに用いられる.分析試薬として硫酸イオンの定性および定量に重要である.有毒.[CAS 10361-37-2:BaCl2][CAS 10326-27-9:BaCl2・2H2O]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩化バリウム」の意味・わかりやすい解説

塩化バリウム
えんかバリウム
barium chloride

化学式 BaCl2 。苦みがかった塩味のある無色の物質。無水塩,2水塩の比重はそれぞれ 3.89,3.10。有毒。水に易溶,メチルアルコールに可溶,エチルアルコール,アセトンに不溶。レーキ顔料,媒染剤,殺虫剤などに使われる。

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