日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化バリウム」の意味・わかりやすい解説
塩化バリウム
えんかばりうむ
barium chloride
バリウムと塩素の化合物。以前は重晶石(硫酸バリウム)を塩化カルシウムと溶融して製造していたが、現在では硫化バリウム溶液と塩酸との反応によっている。飽和溶液から常温で無色の扁平(へんぺい)な結晶、または粉末状の二水和物が析出する。二水和物はわずかに吸湿性をもつ。これは121℃で無水和物に変わる。無水和物は常温では単斜晶系の結晶であるが、転移点925℃で等軸晶系に変わる。水に溶けやすいが、エタノール(エチルアルコール)やアセトンには溶けない。レーキ顔料、バリウム塩の原料、ボイラー用水の軟化剤などのほか、分析試薬としても用いられる。
[鳥居泰男]
[補完資料] |