斉衡二年(八五五)八月一八日の大鳥五社大明神并神鳳寺縁起帳(大鳥神社文書)によると、景行天皇四〇年、日本武尊が東国平定の帰途、伊勢国
当社は早くから朝野の崇敬を集めたようで、文武天皇の慶雲三年(七〇六)菅生朝臣小村が勅使として当社に奉幣したと伝える(前掲縁起帳)。「新抄格勅符抄」所引の大同元年牒によると和泉国で封戸二が与えられている。その後、弘仁一四年(八二三)七月四日祈雨のための幣を受け(日本紀略)、承和九年(八四二)一〇月九日、従五位上口進階(続日本後紀)、貞観元年(八五九)正月二七日従四位下(三代実録)、同年九月八日、風雨祈請の奉幣を受け(同書)、同三年七月二日には従三位へと進階している(同書)。また「延喜式」神名帳に「大鳥神社名神大、月次新嘗」とみえ、和泉国唯一の名神大社となっている。正応二年(一二八九)書写の「和泉国神名帳」には「正一位大鳥大社」とみえる。なお「平治物語」(六波羅より紀州へ早馬を立てらるる事)によると平治元年(一一五九)一二月、平清盛・重盛父子が紀州熊野参詣の途次、源義朝挙兵の知らせを受け、直ちに引返したが、その途中当社に参詣している。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
大阪府堺市西区鳳北町に鎮座。大鳥連祖(おおとりむらじのみおや)神と,1957年増祀された日本武(やまとたける)尊をまつる。創建年代は不詳であるが,社伝に日本武尊を葬った所より白鳥が飛び立ち,その最後にとどまった地に神社を建てたと伝える。《延喜式》では名神大社に列し,大鳥美波比神社,大鳥北浜神社,大鳥浜神社,大鳥井瀬神社の4社を合わせ大鳥五社明神とも呼ばれた。和泉国の一宮としても知られ,1871年(明治4)官幣大社に列した。例祭は8月13日。特殊神事の花摘祭(4月13日)がある。
執筆者:宝来 正彦 本殿は1662年(寛文2)再建されたが,1905年に焼失し,現在の本殿は09年に規模を約6m四方とやや大きくして再興されたもの。側面と背面を二柱間とするが,切妻造,妻入りの正面には中央に柱をたてず扉を設ける。内部中央にも扉構えがあり,前後2室とする。この平面形式は,奥行きが四柱間ある住吉大社本殿をつめた,いわば住吉造を簡略化した形式とみることができる。破風は反らずに直線で,屋根は檜皮葺きとする。この形式を大鳥造と呼ぶ。
執筆者:宮沢 智士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大阪府堺市鳳北(おおとりきた)町に鎮座。大鳥連祖神(おおとりむらじのみおやのかみ)と、1957年(昭和32)増祀(ぞうし)された日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀(まつ)る。創建年代は不詳。社伝には、日本武尊を葬った所より、その霊が白鳥になって飛び立ち、最後に留(と)まったこの地に神社を建てたと伝える。『延喜式(えんぎしき)』の名神(みょうじん)大社で、祈年(としごい)、月次(つきなみ)、新嘗(にいなめ)の官幣を受け、式内社の大鳥美波比(みはひ)神社、大鳥北浜神社、大鳥浜神社、大鳥井瀬神社の4社をあわせ、大鳥五社明神とよばれていた。和泉(いずみ)国の一宮(いちのみや)としても知られ、1871年(明治4)官幣大社に列格した。現在の本殿は、旧国宝の本殿が1905年(明治38)炎上したため、09年同一形式で再建されたもので、「大鳥造」とよばれる。出雲(いずも)大社の「大社造」に似た建築様式であるが、正面の入口が中央に寄り、回廊がないなどの特徴をもっている。例祭は8月13日。特殊神事として、花摘(はなつみ)女が野花をとって神前に捧(ささ)げる「花摘祭」が4月13日に行われる。
[寳來正彦]
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大阪府堺市西区鳳北町に鎮座。式内社・和泉国一宮。旧官幣大社。祭神は日本武(やまとたける)尊・大鳥連祖神。日本武尊が死後に白鳥となり,現社地に降り立ったのが創祀と伝える。861年(貞観3)従三位に叙された。中世には一宮とされたが,中世後期には兵火により一時荒廃し,寛文年間以降に再建された。例祭は8月13日。大鳥大神宮五社流記帳と大鳥五社大明神并神鳳寺縁起帳がある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…岩上や老樹のこずえに巣を営んで子を育て定着するので,地名にもしばしば名づけられる。また,巨大で強力なところから霊鳥として尊ばれ,関東の鷲(おおとり)神社,大鳥(おおとり)神社などはこれを神に祭ったものであろう。古くはワシが天から子どもたちを連れてきたという信仰もあり得たかと考えられる説話がある。…
※「大鳥神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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