改訂新版 世界大百科事典 「太平山地」の意味・わかりやすい解説
太平山地 (たいへいさんち)
秋田県のほぼ中央部にある山地。白子森(しらこもり)山地ともよばれる。新第三系のグリーンタフ,玄武岩,安山岩のほか,花コウ岩などからなり,出羽山地に含まれる。北は米代川,南は雄物川によって限られ,西は秋田平野に向かって徐々に低くなる。山地中央部には最高峰の白子森(1179m)をはじめ,太平山(1171m),大仏岳(1167m),馬場目岳(1037m)と,おおむね標高1100m前後の峰が連なり,広大な山地を形成している。定高性を示す山稜の各所に浸食平たん面を残す一方,米代川と雄物川の支流の小河川による浸食作用が活発で,深い峡谷が刻まれて早壮年期山地の特徴を示す。米代川流域には日本三大美林の一つとして有名な秋田杉の森林が広がり,米代川の水運を利用して古くから木材の生産が盛んである。クマ,カモシカなどが生息し,山地内の根子(ねつこ)(北秋田市の旧阿仁町),萩形(はぎなり)(上小阿仁村)などはまたぎ集落として知られた。
執筆者:中村 嘉男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報