グリーンタフ(読み)ぐりーんたふ(英語表記)green tuff

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリーンタフ」の意味・わかりやすい解説

グリーンタフ
ぐりーんたふ
green tuff

岩石名として緑色化した凝灰岩をさす場合もあるが、新生代新第三紀中新世前期から中期の火山噴出岩を中心にした堆積(たいせき)物の総称として用いられる場合のほうが多い。後者の場合、特定の層準の地層呼称になるわけであるが、現在では、門前層、台島層、西黒沢層およびそれらの相当層をさすのが一般的である。これらの地層中には、変質作用によって緑色化した凝灰岩(緑色凝灰岩)類と火山岩類が頻繁に認められる。

 グリーンタフは、千島列島から北海道のオホーツク海側、西南北海道、東北日本の日本海側からフォッサマグナ、さらに西南日本の日本海側に広く分布する。これらの地域グリーンタフ地域とよぶことがある。この地域においては、多くの場合、中新世前期から中期に、著しい陥没運動とともに激しい海底火山活動があり、しばしば数千メートルに及ぶ大量の火山噴出物を堆積させている。この大量の火山噴出物の存在がグリーンタフ地域を特徴づける第一の点である。第二の点は、高い地熱勾配(こうばい)と埋没の進行によって引き起こされる続成作用や、マグマ活動に伴う接触変成作用と熱水変質作用などによる著しい変質作用の存在である。これらの特徴は、千島‐東北日本‐伊豆‐マリアナと、西南日本という、新第三紀の二つ弧状列島におけるマグマ活動域の地質条件に対応している。

 これに対して、グリーンタフと同層準の地層がありながら、その中に緑色化した火山噴出岩類をまったく、もしくはほとんど含まない地域を非グリーンタフ地域とよぶことがある。しかし、グリーンタフ地域と非グリーンタフ地域は、明瞭(めいりょう)な境界によって画されるものでなく、両者は漸移的である。

[伊藤谷生・村田明広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グリーンタフ」の意味・わかりやすい解説

グリーン・タフ
green tuff

北海道西部から本州の日本海側とフォッサ・マグナ地域の新第三系中新統を中心とする地層に特徴的に分布する緑色の岩石名。日本の石油はおもにこの時代の地層に生成された。火山活動(火山作用)に始まる地向斜性堆積物で,地層に褶曲がみられる。これらの特徴からグリーン・タフが形成された地質学的性質を重視して,その分布地域をグリーン・タフ地域,グリーン・タフ地域の地殻変動をグリーン・タフ変動と呼ぶことがある。

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