コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

家族主義 かぞくしゅぎ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

家族主義
かぞくしゅぎ

家族の構成原理,特に家父長的原理と情義的人間関係が外部の社会組織,集団にまで拡大浸透しているとき,そこにみられる行動様式,人間関係,価値体系を総称して家族主義という。資本主義社会以前の段階にあっては多かれ少なかれ発生するものであるが,ヨーロッパでは近代における資本主義の発達とともに解体していった。しかし,日本における資本主義の発達は,封建的社会体制を完全には崩壊させず,むしろそれらを残存させ,強化する形で行われたため,家族主義的価値体系が解体されることなく,あらゆる社会構造のなかに根強く持込まれていった。第2次世界大戦後,このような家族主義の克服が目指されたが,新たな家族の原理が定着するまでにはいたっていない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

かぞくしゅぎ【家族主義】

家族主義という言葉は,ある社会が家族を社会の構成単位として重視するだけでなく,家族の原則を家族外のさまざまな社会関係にもおしひろげて適用する傾向のある社会構造を示している事実を指したり,あるいは,そのような社会構造となることを理念とするイデオロギーを指したりする。 日本社会は現代に入るまで近世,近代を通じて家を重視し,また社会生活上,家なしには個人が生きていくことが困難なため,社会全体が家々の連合する構造を示し,親類ネットワークおよび同族,機能別の多様な,地縁的な町内,ムラ,古代には(うじ)などの組織の組合せにより特徴づけられてきた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

かぞくしゅぎ【家族主義】

家族をすべてに優先して考える主義。
組織における支配と服従の関係を、家父長の恩情と子の家父長への奉仕の関係とみなす思想。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

家族主義
かぞくしゅぎ

家族内にみられる人間関係や生活態度ないし意識を、家族以外の社会集団へまでも拡大適用しようとする考え方や、これに基づく政策ないし制度慣習の総称。この場合、西欧では家父長的家族が、また日本では「家(いえ)」制度体における家長と各種の家成員との関係や、その展開である本家・分家の同族関係ないし親方・子方関係が模範とされた。
 農工商が家業の自営として営まれ、それが社会を支える主要な産業である場合、しかも世襲する君主の家系を支配の頂点とする国家の場合、国家を家族に見立て国王を家父長に例えることは、西欧でも絶対王政下の君主論にみられた。中国に「国家」という表現が古代よりあったのをstateの訳語にあてた日本の近代でも、儒教思想とあわせて日本自身の家の思想を拡大類推させ、明治憲法下の国家を説く国民道徳論が政府の奨励のもとに広い支持を受けた。そして「家族国家」とか「国民は天皇の赤子(せきし)である」とかいう表現を伴って家族主義的国家観がたてまえとされた。このような国家観の基礎に、稲作中心の農家をはじめとして、家を単位とした零細な商工業などの家業経営によって生計をたてる国民生活があり、富国強兵を旗印とした近代日本の資本主義経済の発展は、家と家連合による町や村の構造に支えられてきた。先進諸国との競争に耐えた低賃金労働の供給、過剰労働力のプール、急激な生産の拡大・縮小のしわ寄せ先となる下請け組織、乏しい利益で末端流通組織を支える零細商家経営など、家と家連合が相互扶助で低い生活水準に耐えてきた。これも家族主義の美徳とされた。また家と無関係な大企業でも、上司を親に見立てて企業を家に例える恩情主義が、経営家族主義とよばれ近時に及んだ。[中野 卓]
『間宏著『日本的経営の系譜』(1963・日本能率協会) ▽間宏著『日本的経営 集団主義の功罪』(日経新書) ▽安藤喜久雄・石川晃弘編『日本的経営の転機』(1980・有斐閣)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の家族主義の言及

【ホームドラマ】より

…映画史家の田中純一郎は,松竹の新撮影所長城戸(きど)四郎の方針の下に作られた一連の島津保次郎監督作品(《お父さん》1923,《日曜日》1924,等)をホームドラマの先駆的作品としてあげ,ほぼ同時代の五所平之助監督作品や小津安二郎監督作品も含めて,いわゆる〈小市民映画〉の流れに連なるものとしている。このようなホームドラマの登場は,当時の新しい〈中間階級〉,すなわちサラリーマン階級の台頭と表裏の関係にあったが,田中も指摘するように,日本人固有の〈家族主義〉の伝統も,この〈城戸イズム松竹調〉(いわゆる〈蒲田調〉)のドラマトゥルギーに大きく影響していたとみることができる。 このように,大衆のなかの〈生きたジャンル〉としてのホームドラマは,戦前の松竹映画を嚆矢(こうし)とすると言ってよいが,それがある変容を含みつつ一気に隆盛し,一つの画期を示すのは,戦後の〈テレビ時代〉の到来以降のことである。…

※「家族主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

家族主義の関連キーワードピアプレッシャーゴトン・ロヨン出光興産(株)ラ・シャロテー現代演劇協会リトアニア人企業別組合出光 佐三親方・子方日本的経営福利厚生軍隊教育農村住居企業意識北東の風出光佐三二重忠誠武藤山治温情主義地主支配

今日のキーワード

跋扈

[名](スル)《「後漢書」崔駰伝から。「跋」は越える意、「扈」は竹やな》魚がかごを越えて跳ねること。転じて、ほしいままに振る舞うこと。また、のさばり、はびこること。「軍閥の跋扈」「悪辣な商売が跋扈する...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

家族主義の関連情報