富士宮(市)(読み)ふじのみや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「富士宮(市)」の意味・わかりやすい解説

富士宮(市)
ふじのみや

静岡県東部にある市。1942年(昭和17)大宮町と富丘村が合併して市制施行。1955年富士根(ふじね)村を合併、1958年北山、上井出(かみいで)、白糸、上野の4村を、2010年(平成22)芝川町(しばかわちょう)を編入。市名は富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)の門前町に由来する。JR身延(みのぶ)線が通じる。市域は富士山頂から西斜面一帯に広がり、中央を北から南に潤井(うるい)川、芝川が貫流し、芝川は南西部を流れる富士川に注いでいる。

 古くから浅間大社の門前町として栄え、戦国時代には六斎市(ろくさいいち)が立ち、駿河(するが)より甲州へ通じる交通の要地であった。塩、魚を主とする産物が集散し、江戸時代には和紙製糸の町として発達した。明治中期に洋紙製造が始まり、大正中期には絹糸紡績工場が進出。近年は化学工業、医薬・医療機器、輸送用機械の工場が立地している。富士山南西麓(ろく)を中心に乳牛、肉豚、ブロイラーなどの生産を行い、牛乳生産量は県内でも有数。ワサビ、タケノコ栽培や施設園芸も行われる。豊富な湧水(ゆうすい)を利用して養鱒(ようそん)がなされ、県水産・海洋技術研究所富士養鱒場は全国有数のニジマス生産量を誇り、県内外に種卵を供給している。

 国道139号(西富士道路、富士宮道路)が南北に縦断し、ほかに国道52号、469号が通じる。さらに、富士山スカイラインが新五合目まで達しており、万野(まんの)や人穴(ひとあな)の風穴白糸ノ滝猪之頭湧水(いのかしらゆうすい)、朝霧高原、田貫(たぬき)湖など富士山の自然を生かした観光を主に、浅間大社、日蓮正宗(にちれんしょうしゅう)の総本山大石寺(たいせきじ)などへの参詣者を含めて、観光開発に力を注いでいる。浅間大社本殿、大石寺五重塔は国の重要文化財、湧玉池(わくたまいけ)、狩宿の下馬ザクラ(かりやどのげばざくら)は特別天然記念物に指定されている。面積389.08平方キロメートル(境界一部未定)、人口12万8105(2020)。

[川崎文昭]

『『富士宮市史』全2巻(1971、1986・富士宮市)』


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