寒中水泳(読み)かんちゅうすいえい

精選版 日本国語大辞典 「寒中水泳」の意味・読み・例文・類語

かんちゅう‐すいえい【寒中水泳】

  1. 〘 名詞 〙 冬の寒いときに行なう水泳。元来は、日本古来の泳法を伝える各流の水練道場が寒稽古として行なったもの。寒泳。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「水や寒気などにも肉体的享楽の存することは寒中水泳の示すところである」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉好悪)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒中水泳」の意味・わかりやすい解説

寒中水泳
かんちゅうすいえい

寒中(1月初めの寒の入りから節分までの期間)に、川や海で一定の形式のもと、平泳ぎの距離泳ぎを行ったり、抜手(ぬきて)などの日本泳法や、道具を用いて曲泳などを行う、主として心身鍛練と水泳技術を示す目的の行事発祥はさだかでないが、形式を整えての寒中水泳はごく近代のことで、一般に水泳が盛んになった明治末期から、関東地方や関西地方を中心に行われたのが初めといわれている。近年、河川汚染で、多くは海で行われている。

 この行事には、身体機能に異常のない健康で泳力のある者ならだれでも参加できるが、主催者はもちろん泳者も事故防止対策を十分行わなければならない。なお、泳者は、前年から寒冷に対する抵抗力を養うよう心がけ、実行にあたっては、準備運動を十分に行いつつ肌を気温に慣らし、気力を充実させてゆく必要がある。入水するときは、身体を徐々に浸し冷水に慣らしつつ、静かに泳ぎ出す。泳ぐ時間は、その日の水温によるが、最長でも10分が目安となる。水泳後は、ただちに身体の水をぬぐい、たき火その他で暖をとり、温かい飲食物(たとえばくず湯、汁粉など)によって内外から体温回復を図り、さらに入浴をすれば、心身の平静を取り戻すことができる。

[堀内幸雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寒中水泳」の意味・わかりやすい解説

寒中水泳
かんちゅうすいえい

冬の寒い時期,海や川などで行なう水泳,またその行事。一般に小寒から大寒までの寒の内に実施される。元来は日本泳法を伝える神統流神伝流水任流水府流,小池流の水練道場が寒稽古の一つとして行なったもの。現在では1日だけ日を定めて年中行事として実施しているところが多い。

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