小さな政府(読み)ちいさなせいふ

デジタル大辞泉の解説

ちいさな‐せいふ〔ちひさな‐〕【小さな政府】

政府の経済政策・社会政策の規模を小さくし、市場への介入を最小限にし、市場原理に基づく自由な競争によって経済成長を促進させようとする考え方。規制を緩和し、民間の活力を引き出すことで経済社会の発展を目指すが、その一方で、個人の自己責任が厳しく問われるようになり、格差が生じやすくなる。税や社会保障費など国民負担率は低く抑えられるが、「低負担低福祉」となる傾向がある。⇔大きな政府。→フリードマン夜警国家

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百科事典マイペディアの解説

小さな政府【ちいさなせいふ】

政府の役割をできるだけ小さくした方が経済の発展や国民生活の向上につながるという考え。〈安価な政府〉〈安あがりの政府〉とも。政府の経済活動への介入は結局のところ混乱と浪費をもたらすだけで,経済の健全な発展にはむしろ害であるという考え方が18―19世紀には支配的であった。これは〈神の見えざる手〉によって経済は自由放任のもとでも健全に発展するというアダム・スミスの考えが基盤になっている。第2次世界大戦後は積極国家観のもとで一般に〈大きな政府〉が求められるようになったが,イギリスにみられるように福祉政策の優先が市場経済の停滞をもたらしたため,その反省から1980年代には〈小さな政府〉を求めるサッチャー主義が台頭した。また同じころ,日本では中曾根康弘,アメリカではレーガンが〈小さな政府〉を掲げて市場経済重視策をとった。このように現代でも政策論として〈大きな政府〉か,〈小さな政府〉か,各国でも絶えず議論のあるところである。→夜警国家

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大辞林 第三版の解説

ちいさなせいふ【小さな政府】

政府の役割や事業の肥大化が、経費の増大や非能率を生んでいるとの反省から、政府の規模を縮小し、財政経費を減らそうという考え方。 → 安価な政府

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

小さな政府
ちいさなせいふ

政府による経済活動への介入を可能なかぎり減らし、市場原理による自由な競争を促すことで経済成長を図る思想・政策。具体的には国家公務員や政府予算の規模を縮小し、規制を緩和して民間企業にできることは民間企業へ移管する。税などの国民負担は少なくてすむが、公的サービスの水準も低くなる(低福祉低負担)。究極的な姿としては「夜警国家」(政府が外交、警察・軍隊のみに集中する国)がある。
 「高福祉」を維持するためには、国民は「高負担」を受け入れなければならない。スウェーデン、デンマークなど北欧諸国は、高福祉高負担の「大きな政府」を揺るがない政策として取り入れている。
 日本では、1980年代後半の中曽根康弘(なかそねやすひろ)内閣における国鉄、電電公社、日本専売公社などの民営化や、2000年代前半の小泉純一郎内閣での郵政民営化など、小さな政府を指向した時期がある。その後、麻生太郎内閣時に「中福祉中負担」という、あいまいなキャッチフレーズが持ち出され、「大きくも小さくもない政府」を目ざすようになった。[編集部]

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世界大百科事典内の小さな政府の言及

【チープ・ガバメント】より

…安上りの政府の意味で,リトル・ガバメント(小さな政府)とも呼ばれる。国民の租税負担を低く抑えて,経済活動に干渉しない政府のありかたをいう。…

※「小さな政府」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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