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少額訴訟 ショウガクソショウ

デジタル大辞泉の解説

しょうがく‐そしょう〔セウガク‐〕【少額訴訟】

民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、原則として1回の審理判決まで行う特別な訴訟手続き。
[補説]即時解決を目指すため、証拠書類や証人は、審理当日にその場ですぐに調べられるものに限られる。審理は基本的に、裁判官と丸いテーブルに着席する形式で進められる。判決や和解の内容に相手が従わない場合は、強制執行を申し立てることができる。判決に不服がある場合は、異議を申し立てることができるが、控訴することはできない。利用回数は、一人につき同じ裁判所で年間10回までに制限されている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

少額訴訟

60万円以下の金銭トラブルについて、少ない費用で迅速に解決する司法手続き。簡易裁判所で行われる。証人法廷に来られない場合は、電話での尋問も認められる。敷金返還や交通事故の損害賠償請求などの事案で多く使われる。原則として1回の口頭弁論で結審し、期間を定めた分割払いや支払い猶予の判決が言い渡される。判決に不服がある場合は、同じ簡裁に異議申し立てをする。

(2006-04-15 朝日新聞 朝刊 宮崎全県 1地方)

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損害保険用語集の解説

少額訴訟

60万円以下の少額の金銭請求事件が対象となり、簡易裁判所に訴えを起こす裁判のひとつをいいます。原則として1回の審理で完了し、通常の訴訟に比べ費用や時間の負担が少なく効力は変わりません。弁護士に委任せず、一般市民の方が単独で行うことが十分可能です。

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうがくそしょう【少額訴訟】

簡易裁判所で扱う訴訟の中でも,とくに30万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて,市民が代理人を頼まなくても簡単に利用できるように思い切って簡略化した特別の訴訟手続。わかりやすい,使いやすい民事訴訟を作ろうという目標のもとに立法された新民事訴訟法(1996公布,98施行)の目玉の一つとして創設された。訴えを提起する際に原告がこの手続による裁判を求め,被告がこれに対して通常の手続で審理してもらいたい旨を述べなければ,この手続で裁判が行われる(民事訴訟法368条,373条)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

少額訴訟
しょうがくそしょう

簡易裁判所で扱う訴訟のなかで、請求額が30万円以下の少額の場合、できるだけ経済的負担がかからないよう、原則として1回で審理を終了し即日判決を出せるようにした民事訴訟法の手続。[池尻郁夫]

設立の背景

第二次世界大戦後、小規模紛争の簡易・迅速な処理を目的の一つとして創設された簡易裁判所は、旧民事訴訟法のもとでは、基本的には地方裁判所と同一の訴訟手続が適用されることが前提とされており、その結果、小型の地方裁判所の様相を呈し市民に身近な裁判所となりえなかった。また、一般にそこでの民事事件は、貸金業者や信販業者などから市民が被告として訴えられる業者事件により占拠されていた。
 そこで、このような事情を背景として、1996年(平成8)に公布され、98年1月より施行された新民事訴訟法においては、少額訴訟手続が新設された(第6編368条以下)。この手続は、司法を市民に利用しやすいものにするために導入された手続で、第1回期日に即時証拠調べをし、判決も同日に言渡しをすることになっている。諸外国で行われている少額裁判所Small Claims Courtの日本版である。これまで司法に対し、時間がかかりすぎるとか費用がかかりすぎるという批判が多かったが、その改善の第一歩としようとするものである。[池尻郁夫]

手続の内容

簡易迅速な手続で行うため、この手続を利用できるのは、訴訟の目的の価額(訴額)が30万円以下の金銭の支払請求を目的とする訴えに限られる。原告は、少額訴訟の対象になる事件について、少額訴訟手続によるか通常の手続によるかを選択することができる。被告は、審理が開始されるまでの間、原告が少額訴訟手続を選択した事件を通常の手続に移行させることができる。
 少額訴訟の審理は口頭弁論で行われ、特別の事情がある場合を除いて、最初にすべき口頭弁論の期日(現実に弁論がなされる最初の期日)に審理を完了しなければならない。このために、その期日前またはその期日に、すべての攻撃防御方法(原告、被告双方の陳述)を提出しなければならない。
 少額訴訟では、審理の簡易化のためにいくつかの手続的制約がある。第一に、被告は反訴を提起することができない。第二に、証拠調べは即時に取り調べることができる証拠に限り行うことができる。即時に取り調べることができるとは、物的証拠の場合は、法廷に持ち込まれているもの、人的証拠(証人)の場合は法廷に在席しているもの、をいう。第三に、証人等の尋問についても、通常の訴訟手続における方式性や形式性を緩和し柔軟で利用しやすい手続とするための規定を、いくつか設けている。すなわち、尋問事項書の不要化、証人宣誓の不要化、尋問順序の裁量化、電話会議システムによる証人尋問などがそれである。
 第1回期日で判決までのすべての手続を行うことが原則になっているので、当事者に対する手続の事前教示(どのような手続なのか、用意する証拠書類、同行してもらう証人、被告の通常訴訟移行の申立権など)が重要となる。期日には司法委員も立ち会うことが多く、ただちに和解で解決することもある。判決になる場合も、調書判決を原則とし、判決内容も当事者の具体的事情を考慮して3年以内の支払期限猶予または分割払いを定めることができる。一般に請求認容判決は、とくに原告の申立てがない以上一括払判決が原則である。しかし、被告に十分な資力がない場合などには、強制執行によるのではなく、債務者の自発的な支払努力に依拠するほうが、原告にとっても満足な結果が得られる可能性が高い。被告も議論に参加して支払方法などを定めたほうが、結果的にみて任意履行の誘因を生み出しやすく、実効的な判決となりうる。そこで、裁判所は、請求の全部または一部を認容する判決をする場合には、被告の資力やそのほかの事情を考慮してとくに必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲内で認容額の支払いの猶予もしくは分割弁済の定めをすることができる旨の規定が置かれた。[池尻郁夫]

不服申立て

不服申立てとしては、その判決を下した簡易裁判所に対する異議申立てのみを認めている。判決に対して控訴は許されず、異議申立てのみが認められ、同一の簡易裁判所が異議審を担当する。異議審の判決で原則的に確定し、特別上告のみが可能となっている。
 なお、金融業者がこの手続の大部分を占めるようになることを避けるため、1当事者につき利用回数は年10回以内と定められている。これは、少額訴訟手続が、消費者金融会社や信販会社など特定の者に独占され、一般市民が利用しにくくなることを防止する趣旨である。[池尻郁夫]

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