精選版 日本国語大辞典 「屋形・館」の意味・読み・例文・類語
や‐かた【屋形・館】
〘名〙
① 舟の上に設けた屋根のある家の形をしたもの。ふなやかた。
② 牛車や輿車(こしぐるま)などの上につくった家の形の覆い。
※延喜式(927)一七「腰車一具。屋形。〈長六尺。広五尺〉〈略〉牛車一具。屋形。〈長八尺。高三尺四寸。広三尺二寸〉」
※枕(10C終)四五「月のあかきに、屋かたなき車のあひたる」
※古今(905‐914)大歌所御歌・一〇七二「水ぐきの岡のやかたにいもとあれどねてのあさけの霜の降りはも〈よみ人しらず〉」
※源平盛衰記(14C前)二二「弘経屋形(ヤカタ)に帰って云ひけるは」
⑤ 貴人を敬っていう語。また特に、中世、屋形号を許された大名の称。
※蔗軒日録‐文明一八年(1486)一一月一〇日「来十四日永興忌、同誉康公状至云、屋形要三予之赴二忌斎拈香一、以二予之拒辞一停止」
※読本・昔話稲妻表紙(1806)五「某おん館(ヤカタ) 義政公をさしていふ の御気色を損じ」
⑥ 「やかたぶね(屋形船)」の略。
⑦ 芸娼妓の住んでいる家または置屋。〔洒落本・当世嘘之川(1804)〕
⑧ 家の形状を図案として表わした紋所または模様。屋形紋。
※随筆・遠碧軒記(1675)上「伊勢内宮の紋は屋形なり」
⑨ 「やかたちりめん(屋形縮緬)」の略。〔万金産業袋(1732)〕
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