常念岳(読み)ジョウネンダケ

デジタル大辞泉 「常念岳」の意味・読み・例文・類語

じょうねん‐だけ〔ジヤウネン‐〕【常念岳】

長野県西部、飛騨山脈中部にある槍ヶ岳穂高岳の前山をなす常念山脈の主峰。標高2857メートル。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「常念岳」の意味・読み・例文・類語

じょうねん‐だけジャウネン‥【常念岳】

  1. 長野県中西部、飛騨山脈東縁の山。大天井岳南側にある。標高二八五七メートル。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「常念岳」の解説

常念岳
じようねんだけ

穂高ほたか町・堀金ほりがね村の西方にそびえる標高二八五七メートルの山で、安曇あずみ村との境に位置する。大滝おおたき山・ちようヶ岳・東天井ひがしてんじよう岳・大天井おおてんじよう岳・つばくろ岳・餓鬼がき岳などの諸峰とともに常念山脈を形成し、北アルプスの前山をなす。段層のために峰がそそり立ち、特に常念岳以北は黒雲母花崗岩のため南の蝶ヶ岳(古生層)と異なって、峰が大きく突起している。

当山の直下、烏川からすがわ谷の大平原上に標高一五九六メートルの「まゆみ沢山」がある。この山は烏川谷を放牧地とする「延喜式」所載の猪鹿いが牧の馬斎神を祀った山と考えられるが、猪鹿牧の中心である現穂高町牧集落からは遠望できないこと、常念岳から流れ下る沢をまゆみ沢といっていることなどから、常念岳のことを当初は「まゆみ岳」といっていたものと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「常念岳」の意味・わかりやすい解説

常念岳 (じょうねんだけ)

飛驒山脈(北アルプス)南東部,長野県松本市と安曇野(あづみの)市の境界に位置する山。標高2857m。飛驒山脈主稜の槍・穂高連峰の東方に前山としてそびえる常念山脈の主峰をなす。山体上部は形の整ったピラミッド形を呈し,松本盆地から眺められるこの山の優美な姿は抜きん出ており,古くから多くの人をひき付けてきた。古くはその山形から乗鞍(のりくら)岳と呼ばれたが,修験の常念坊が登山したため常念岳と名付けられたとか,延暦年間(782-806)坂上田村麻呂が有明の八面大王を討ったとき,大王の家来の常念坊がこの山に逃れたことから常念岳と名付けられたとかの伝説が残る。付近の森林限界は標高約2500mで,上部はハイマツが分布し,稜線部は砂礫地となる。山体はほぼ中生代白亜紀の花コウ岩で構成され,その風化層のマサ(真砂)からなる明るい砂礫地にはコマクサなどの高山植物がみられる。またタカネヒカゲなどの高山チョウやライチョウなども多く生息している。山頂からは西に槍・穂高連峰を,東に安曇野や八ヶ岳連峰を望むことができる。稜線は常念山脈の縦走路となっており,山頂北側の常念乗越には常念小屋がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「常念岳」の意味・わかりやすい解説

常念岳
じょうねんだけ

長野県西部、松本盆地の西側にそそり立つ山。標高2857メートル。燕岳(つばくろだけ)、大天井岳(だいてんじょうだけ)とともに北アルプスの前山的存在である。花崗(かこう)岩からなり、山容はピラミッド型を呈し、松本盆地からはもっとも目だつ山である。1919年(大正8)山頂近くに常念小屋ができ、1924年大天井岳から西岳、槍ヶ岳(やりがたけ)へのいわゆる喜作新道ができるまでは、槍ヶ岳への主要登路にあたっていた。JR大糸線豊科(とよしな)駅から山麓(さんろく)の須砂渡(すさど)までバス、そこから約7時間の行程。近年は長野道豊科インターチェンジから県道310号・309号経由で林道一ノ沢線を利用。一ノ沢登山口から5時間の行程で常念小屋に着くルートが一般的。常念小屋からは40分で山頂に達する。頂上からは北アルプスをはじめ、美ヶ原(うつくしがはら)、八ヶ岳(やつがたけ)連峰や、松本盆地などの眺めがすばらしい。山名は開山者の行者の名をとったとか、山麓の寺の住職常念坊の名をとったとかいわれる。5月初旬、頂上近くの雪が消えると、達磨(だるま)大師の北枕(きたまくら)の寝姿が黒く現れるといわれる。

[小林寛義]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「常念岳」の意味・わかりやすい解説

常念岳【じょうねんだけ】

長野県西部,槍・穂高連峰の前山である常念山脈の主峰。花コウ岩からなり,標高2857m。南は蝶ヶ岳,大滝山,北は大天井岳,燕(つばくろ)岳に連なる。北側鞍部(あんぶ)に常念小屋があり,南北からの縦走も容易。中部山岳国立公園に属し,梓(あずさ)川を隔てた槍・穂高連峰の展望がよい。日本百名山に選ばれている。
→関連項目豊科[町]日本百名山穂高[町]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常念岳」の意味・わかりやすい解説

常念岳
じょうねんだけ

長野県西部,飛騨山脈前山の主峰。標高 2857m。松本盆地の西縁にあり,三角状にそそり立つ。山頂の北は花崗岩,南は古生層粘板岩などから成る。 1933年上高地に自動車道が通じるまでは,槍ヶ岳,穂高岳方面への登山ルートにあたった。山麓にはゴルフ場別荘地,夏季の運動施設などがある。中部山岳国立公園に属する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

事典・日本の観光資源 「常念岳」の解説

常念岳

(長野県)
日本百名山指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android