関東地方の東部にあり、利根川(とねがわ)下流低地を挟んで茨城県と千葉県にまたがる平地林の多い台地。茨城県側の常陸台地(ひたちだいち)と千葉県側の下総台地(しもうさだいち)からなる。関東構造盆地運動の影響を受けて、関東平野の中心にあたる茨城県古河(こが)市付近でもっとも低く約15メートル、周辺に向かって高度を増し、茨城県の筑西(ちくせい)市や鹿嶋(かしま)市で40メートル、千葉県の香取(かとり)市付近で40メートル、同山武(さんむ)市付近で50メートルに達する。地質は砂礫(されき)や粘土をもつ成田(なりた)層が主で、その上に関東ローム層がのっており、常陸台地では武蔵野(むさしの)面、下総台地では下末吉(しもすえよし)面にあたる台地面が広い。常陸台地は多くの河川でさらに那珂(なか)、鹿島、茨城、筑波(つくば)、稲敷(いなしき)、結城(ゆうき)、猿島(さしま)などの各台地に分かれる。下総台地は近世には馬の放牧地とされ、いまでは全国一のラッカセイの産地となり、近郊野菜の産も多い。また成田山新勝寺(しんしょうじ)と成田国際空港をもつ成田市を中心に、東京の近郊住宅地化が進んでいる。常陸台地の西部は、全国一のハクサイの産のほか多くの野菜を産し、工業地と近郊住宅地も増加した。中部は筑波研究学園都市、JR常磐(じょうばん)線沿いは工業地と住宅都市が開けたが、東部は農村が主で、サツマイモ、ラッカセイ、遠郊野菜の産地で、鹿島台地南端に臨海工業地域ができている。水郷(すいごう)筑波国定公園が中心にあり、都市化、工業化など地域開発の余地が大きい台地である。
[櫻井明俊]
千葉県から茨城県にわたる下総(しもうさ)台地と常陸(ひたち)台地とを合わせた総称。すなわち関東平野の東半部を占める台地地域をさす。西縁は小貝川河道と江戸川河口をつらねる南北線に限られ,東縁は鹿島灘に臨む海崖の線と九十九里浜低地に臨む古い海崖の線で境される。地域の中央部を西から東に貫流する利根川沿いの低地が下総,常陸の両台地を分けている。台地面は平たんで連続性がよく,洪積世の海成砂層(成田層)から成り,東関東の特色である平地林が多いのが共通した特徴である。
執筆者:式 正英
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…関東平野の南東部を占める台地。大部分がかつての下総国の領域にあたるのでこの名があるが,南縁部に上総(かずさ)国が含まれるので両総台地とも呼ばれ,また常陸(ひたち)台地と合わせて常総(じようそう)台地とも呼ばれる。北縁は利根川,西縁は江戸川に囲まれ,南縁は東京湾に臨み,南東は房総丘陵に接し,東縁は九十九里浜低地に接する。…
…下総(しもうさ)台地と同じような地質構成で,洪積世成田層の海成砂層を主体とし,表層には厚さ2mほどの褐色の関東ローム層が載る。下総台地とは成因も同じく,浅海底が隆起して生じた海岸平野に由来する洪積台地で,合わせて常総台地とよばれる。下総台地と異なる点は,山地に発し東流または南東流する河川の久慈川,那珂川,沼川,桜川などに貫流されて勝田台地,行方(なめがた)台地などのいくつかの台地塊に分かれることである。…
※「常総台地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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