建武以来追加(読み)ケンムイライツイカ

デジタル大辞泉 「建武以来追加」の意味・読み・例文・類語

けんむいらいついか【建武以来追加】

室町幕府法令集。室町幕府御成敗式目基本法としたが、建武式目ののち、必要に応じて法令を追加した。

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精選版 日本国語大辞典 「建武以来追加」の意味・読み・例文・類語

けんむいらいついか【建武以来追加】

  1. 室町時代の法令集。室町幕府が必要に応じて追加制定した法令を集成したもので、書名鎌倉幕府の御成敗式目に建武以後の法令を追加するの意。

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改訂新版 世界大百科事典 「建武以来追加」の意味・わかりやすい解説

建武以来追加 (けんむいらいついか)

室町幕府が発布した追加の法令集。書名は《建武式目》の追加ではなく,《御成敗式目》を本法とする建武年間以後の追加を意味する。室町幕府の追加法令集は多くの条文数(約100~200条余)よりなるものと,比較的少ない条文からなるものに大別できる。後者は種々な名称で呼ばれ,その編成も多様だが,前者は《建武以来追加》《建武式目追加》など類似の書名が付されており,収録条文数には幅があるものの,いずれもほぼ編年順に配列されている。文明年間(1469-87)の古写本も現存するが,数次にわたる増補編纂をへて,最終的な型は永正・大永(1504-28)ころの成立と考えられる。1338年(延元3・暦応1)より1520年(永正17)に至る180余年間の法を収めるが,寺社本所関係,守護地頭関係などの国制的な広がりをもつ法令は初期のみで,正長(1428-29)以降徳政令をめぐる売買貸借法がほとんどを占め,発布対象からかな交りの法令が増加してくる。《群書類従》所収。
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百科事典マイペディア 「建武以来追加」の意味・わかりやすい解説

建武以来追加【けんむいらいついか】

室町幕府は鎌倉幕府の〈御成敗(ごせいばい)式目〉を本法とし,必要に応じて新令を加えたが,この追加法令集をいう。1338年(建武5年・暦応1年)より1520年に至る180余年間の法を収めるが,初期には寺社・本所(ほんじょ)関係,守護(しゅご)・地頭(じとう)関係などの国政的なものを含むが,15世紀半ば以降は徳政(とくせい)令をめぐる売買貸借法が大半である。
→関連項目式目追加

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「建武以来追加」の意味・わかりやすい解説

建武以来追加
けんむいらいついか

室町幕府の発布した法令の集成。室町幕府は鎌倉幕府の継承者を標榜(ひょうぼう)したから、個々の法令は「御成敗式目(ごせいばいしきもく)」に対する追加法と意識されたので、この名称がある。幕府の創立から永正(えいしょう)年間(1504~21)まで、初期には朝廷荘園(しょうえん)領主との関係、守護の権限などの規定が多く、中期以降は経済・財政関係の法が多い。前田育徳会尊経閣(そんけいかく)文庫所蔵の「当御代(とうごだい)建武以来追加条々」100か条がもっとも古いが、『群書類従』所収の「建武以来追加」は200余条。数度にわたって編纂(へんさん)されたと思われる。

[羽下徳彦]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「建武以来追加」の解説

建武以来追加
けんむいらいついか

室町幕府が,鎌倉幕府制定の追加法に加え建武年間以降新たに定めた追加法令を集成した法令集。建武式目の追加ではない。室町幕府は御成敗式目を基本法典とし,鎌倉幕府の制定した追加法を引き継いでいる。条文総数は最大の群書類従本で210条。伝本は3系統にわかれ,尊経閣文庫本は1485年(文明17)室町幕府奉行人飯尾兼連の書写による現存最古の写本。内閣文庫本は群書類従本と尊経閣文庫本の中間形態。他の諸本の条文をほぼ網羅する群書類従本は最も後に成立したと考えられる。尊経閣文庫本の原型が応永末年頃にいったん成立し,以後,群書類従本まで数次にわたって増補拡張したと推定される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「建武以来追加」の意味・わかりやすい解説

建武以来追加
けんむいらいついか

『建武式目追加』ともいう。室町幕府の法令集の一つ。1巻。足利尊氏が幕府の基を開いた建武年間 (1334~37) 以降の,『御成敗式目』に追加された条々を,後世まとめて1冊としたもの。追加のなかで,本条といっているのは,『御成敗式目』である。写本によって条数も異なり,98~210条となっているが,逐次追加法を取入れていったため,条数が増加した。最も古い形であろうと思われるものは,応永 29 (1422) 年までの条文を集めたもの。『群書類従』『中世法制史料集』ほか所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「建武以来追加」の解説

建武以来追加
けんむいらいついか

室町幕府の法令集
建武年間(1334〜38)以降,1520年に至るまで,室町幕府が随時必要に応じて制定した追加法令200条余を集めたもの。室町幕府は御成敗式目を根本法典としており,その追加法令をいう。

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