室町幕府が発布した追加の法令集。書名は《建武式目》の追加ではなく,《御成敗式目》を本法とする建武年間以後の追加を意味する。室町幕府の追加法令集は多くの条文数(約100~200条余)よりなるものと,比較的少ない条文からなるものに大別できる。後者は種々な名称で呼ばれ,その編成も多様だが,前者は《建武以来追加》《建武式目追加》など類似の書名が付されており,収録条文数には幅があるものの,いずれもほぼ編年順に配列されている。文明年間(1469-87)の古写本も現存するが,数次にわたる増補編纂をへて,最終的な型は永正・大永(1504-28)ころの成立と考えられる。1338年(延元3・暦応1)より1520年(永正17)に至る180余年間の法を収めるが,寺社・本所関係,守護・地頭関係などの国制的な広がりをもつ法令は初期のみで,正長(1428-29)以降は徳政令をめぐる売買貸借法がほとんどを占め,発布対象からかな交りの法令が増加してくる。《群書類従》所収。
執筆者:後藤 紀彦
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室町幕府の発布した法令の集成。室町幕府は鎌倉幕府の継承者を標榜(ひょうぼう)したから、個々の法令は「御成敗式目(ごせいばいしきもく)」に対する追加法と意識されたので、この名称がある。幕府の創立から永正(えいしょう)年間(1504~21)まで、初期には朝廷や荘園(しょうえん)領主との関係、守護の権限などの規定が多く、中期以降は経済・財政関係の法が多い。前田育徳会尊経閣(そんけいかく)文庫所蔵の「当御代(とうごだい)建武以来追加条々」100か条がもっとも古いが、『群書類従』所収の「建武以来追加」は200余条。数度にわたって編纂(へんさん)されたと思われる。
[羽下徳彦]
室町幕府が,鎌倉幕府制定の追加法に加え建武年間以降新たに定めた追加法令を集成した法令集。建武式目の追加ではない。室町幕府は御成敗式目を基本法典とし,鎌倉幕府の制定した追加法を引き継いでいる。条文総数は最大の群書類従本で210条。伝本は3系統にわかれ,尊経閣文庫本は1485年(文明17)室町幕府奉行人飯尾兼連の書写による現存最古の写本。内閣文庫本は群書類従本と尊経閣文庫本の中間形態。他の諸本の条文をほぼ網羅する群書類従本は最も後に成立したと考えられる。尊経閣文庫本の原型が応永末年頃にいったん成立し,以後,群書類従本まで数次にわたって増補拡張したと推定される。
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