(鈴木靖民)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
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古代の渡来系豪族の秦(はた)氏の祖といわれる。『日本書紀』には、応神(おうじん)天皇14年に弓月君が百済(くだら)からきて、120県の人夫を率いて帰化しようとしたが、新羅(しらぎ)人に妨げられて、皆加羅(から)国にとどまっていると上奏したので、葛城襲津彦(かつらぎのそつひこ)を遣わしたが、3年たっても襲津彦は戻らなかった。そこで平群木菟宿禰(へぐりのずくのすくね)と的戸田(いくはのとだ)宿禰に精兵を授けて加羅に赴かせ、弓月の人夫と襲津彦を連れ戻したとある。『日本書紀』では弓月君を秦氏の祖とはしていないが、『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』に、太秦公(うずまさのきみ)宿禰は、秦始皇帝(しんのしこうてい)3世の孫、孝武王の後で、男融通(ゆうずう)王(弓月君)が応神天皇14年に来朝したとみえる。後世につくられた話の疑いがある。
[志田諄一]
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秦(はた)氏の祖とされる伝説上の人物。「日本書紀」は応神14年に百済(くだら)から渡来したとするが,実は新羅(しらぎ)系で,その伝承も東漢(やまとのあや)氏や西文(かわちのふみ)氏に対抗して後代に造作したものとされる。秦氏の成立も,欽明朝頃に山背国を中心に各地の新羅系渡来人を組織したもので,中国史書に辰韓は秦の亡命者とあることから秦氏と称したものであろう。ユヅキも,斎槻(ゆつき)の木のことで,古代朝鮮の聖木信仰に由来する語であろう。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…秦始皇帝の裔を称し,後漢霊帝の子孫という漢氏(あやうじ)と勢力を二分した。《日本書紀》には,応神天皇のとき弓月君(ゆづきのきみ)が〈百二十県〉の〈人夫〉をひきいて〈帰化〉し,雄略天皇のとき全国の〈秦民〉を集めて秦酒公に賜り,酒公は〈百八十種勝(ももあまりやそのすぐり)〉をひきい朝廷に絹を貢進したとある。《新撰姓氏録》もほとんど同じことを記すが,弓月君は秦始皇帝の子孫で,帰化したのち〈大和朝津間腋上〉の地に安置されたとし,酒公は〈秦民〉92部1万8670人をひきい絹を貢進し,それを納めるため〈大蔵〉を宮側にたて,その〈長官〉となったという。…
※「弓月君」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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