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秦氏 はたうじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

秦氏
はたうじ

漢氏と並ぶ日本古代の有力な中国系渡来人。記紀の伝承では,応神天皇のとき,始皇帝の子孫である弓月君が多くの人民を率いて朝鮮から渡来し,養蚕,機織業をもって朝廷に仕えた。この秦の民がしだいに豪族に所有され分散したので,雄略天皇が秦の民を集めて秦酒公(はたのさけのきみ)をその長官としたという。6世紀以後,朝廷の財政事務にもあずかった。京都,近江,淀川流域に栄え,秦造(はたのみやつこ)から忌寸改姓(→)し,平安遷都(→平安京)も秦氏の財力を背景としていたという説がある。

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百科事典マイペディアの解説

秦氏【はたうじ】

漢(あや)氏と並ぶ古代の有力な渡来人系氏族。応神天皇の世に秦(しん)の始皇帝の子孫と称する弓月君(ゆづきのきみ)が帰化したと伝える。楽浪(らくろう)郡滅亡後,南朝鮮にいた中国人が5世紀初めごろ渡来したものであろう。
→関連項目大堰川上桂荘京都[市]渡来人東漢氏

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世界大百科事典 第2版の解説

はたうじ【秦氏】

日本古代に朝鮮半島から渡来した氏族。秦始皇帝の裔を称し,後漢霊帝の子孫という漢氏(あやうじ)と勢力を二分した。《日本書紀》には,応神天皇のとき弓月君(ゆづきのきみ)が〈百二十県〉の〈人夫〉をひきいて〈帰化〉し,雄略天皇のとき全国の〈秦民〉を集めて秦酒公に賜り,酒公は〈百八十種勝(ももあまりやそのすぐり)〉をひきい朝廷に絹を貢進したとある。《新撰姓氏録》もほとんど同じことを記すが,弓月君は秦始皇帝の子孫で,帰化したのち〈大和朝津間腋上〉の地に安置されたとし,酒公は〈秦民〉92部1万8670人をひきい絹を貢進し,それを納めるため〈大蔵〉を宮側にたて,その〈長官〉となったという。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

秦氏
はたうじ

東漢氏(やまとのあやうじ)と並ぶ古代の渡来人中の雄族。記紀や『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』などによれば、応神(おうじん)朝に秦(しん)の始皇帝の後裔(こうえい)の弓月君(ゆつきのきみ)が120の県(こおり)の人民を従えて移住したと記すが、中国系ではなく新羅(しらぎ)系の渡来人で、渡来時期も5世紀以降と想像される。ハタは、朝鮮語で「海」を意味する「パダ」に由来するとの説もある。山背(やましろ)国(山城(やましろ)国、京都府中・南部)を拠点として秦氏とその支配下の民(秦人・秦人部・秦部)の分布は日本各地にみられ膨大な数に及ぶ。朝廷の蔵を管理し、大和(やまと)王権の財政をつかさどる一方、新羅系の技術者を擁して鋳工・木工などの各種技術部門の主導権を握り、鉱山の開発や灌漑(かんがい)・土木事業を推進するなど殖産氏族としての活動が顕著である。政治的にはさほど目だった動きを示さないが、欽明(きんめい)天皇の側近であった秦大津父(はたのおおつち)や、厩戸皇子(うまやどのみこ)(聖徳太子)に仕えた秦河勝(はたのかわかつ)の存在は、秦氏がその豊かな経済力と財政的手腕によって、大和王権内に隠然たる力を保持したことを示唆している。[加藤謙吉]

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世界大百科事典内の秦氏の言及

【太秦】より

…北半部は低位洪積段丘上,南半部は沖積平野であり,京都盆地北西部最大の横穴式石室をもつ蛇塚古墳(史)などの前方後円墳や広隆寺は段丘端付近に立地している。太秦付近一帯は,平安京西郊にあたり,その造営に貢献した秦(はた)氏の根拠地と考えられている。秦氏はまた養蚕,機織の技術に優れていたといい,太秦東部の蚕ノ社がそれにちなむ。…

【加羅】より

…また,加羅諸国には異形土器が発達し,鴨形,舟形,車形,家形などの各種の象形土器があり,とくに高床家屋をあらわす家形土器は,この地方の基層文化が南方アジアにつながることを示している。この時期の加羅諸国の新文物・新知識を持って,日本に渡航する人々が多かったが,出身地を安羅とする漢氏(あやうじ)と,金海加羅を出身地とする秦氏(はたうじ)とが,大和朝廷と関係をもったため,その代表的氏族とみなされた。
[6世紀]
 5世紀末から武力をともなった百済の勢力が,加羅諸国に侵入してきた。…

【長宗我部氏】より

…家譜,軍記物は始祖を秦河勝とするがもとより不明。ただ1554年(天文23)の棟札に〈秦国親〉とあり,戦国期には秦氏を自称している。家紋は鳩酢草。…

※「秦氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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