保険への加入が法律により強制されているものをいう。これに対し,強制されていないものは任意保険voluntary insuranceと呼ばれる。強制保険では通常,保険者は引受義務を課せられており,一方,被保険者は加入義務を課せられている。保険加入を強制する理由は,国家の公共政策または社会政策上の見地から,法律の力により一定範囲の被保険者を保険に加入させることが必要であり,また保険制度の効用に著しく公的効果が認められるからである。労働者災害補償保険,厚生年金保険など社会保険はそのほとんどが強制保険である。民営保険は逆にほとんどが任意保険であるが,強制保険としては自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)がある。
執筆者:高木 秀卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
保険事業の監督に伴う強制は別として、保険の実施につきなんらかの点において強制を伴うものをいう。その強制は、設立、加入、給付、事業主体の選択などについて行われうるが、通常は保険加入に対する強制の場合だけを問題とする。強制保険では、保険関係は法律の規定に基づいて当然に成立し、これは通常、被保険者に対しては加入義務として、保険者に対しては受諾義務として現れる。公営保険は強制保険であることが少なくなく、とくに社会保険においてはそうである。強制保険において、その加入せらるべきものの範囲は、だいたいその保険の目的によっておのずから定まる。わが国にある社会保険は、健康保険、国民健康保険、船員保険、労働者災害補償保険、雇用保険、厚生年金保険、国民年金保険などで、いずれも強制保険である。自動車損害賠償責任保険も強制保険であるが、社会保険とは保険の目的が異なっている。
[金子卓治]
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出典 みんなの生命保険アドバイザー保険基礎用語集について 情報
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