後先(読み)アトサキ

デジタル大辞泉 「後先」の意味・読み・例文・類語

あと‐さき【後先】

ある場所の前と後ろ。前後。「後先を見回す」
ある時点の前と後。過去将来。前後の事情。「後先の考えもなく着手する」
物事順序。また、筋道。「後先を取り違える」
[類語]前後前後ろ後ろ前

こう‐せん【後先】

あととさき。前後。
大名を得たるもの、―相続あいつぐ」〈中村訳・西国立志編

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精選版 日本国語大辞典 「後先」の意味・読み・例文・類語

あと‐さき【後先・跡先】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 場所、時間のあととさき。前後。また、過去と現在。
    1. [初出の実例]「人のあとさきにつきあるくものぞ」(出典:四河入海(17C前)一二)
    2. 「娘二人、〈略〉前後(アトサキ)歩行(あゆむ)は」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二)
  3. 細長いものの一方の端と他方の端。初めと終わり。先端と末端
    1. [初出の実例]「私は御当地に名高ひ正継の中ほこ、跡先(アトサキ)は仕だし物」(出典:談義本・当世穴穿(1769‐71)三)
  4. 物事の始めから終わりまですべて。また、話や考えなどの一貫すべき筋道。
    1. [初出の実例]「いかにあとさきあふたことなりとも」(出典:古文真宝笑雲抄(1525)五)
    2. 「前後(アトサキ)わからぬお長(てう)が娘心」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初)
  5. 順序が入れかわること。また、話の筋道があわないこと。食い違いを生じること。
    1. [初出の実例]「かへり点の文字か跡先帰鴈〈貞徳〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一)
    2. 「旦那の仰付られと、口上もあとさきにせき切て申しければ」(出典:浮世草子・世間娘容気(1717)二)
  6. 花ガルタで行なうばくち一種勝負最初から一定金額をかけ、そのあとでまたかける。また、札の一~一二月の数のうち九(菊=九月)が最強、一〇(紅葉=一〇月)はゼロで最弱、一(松=一月)と一一(雨=一一月)はともに一とし、場にくばった二枚の札を「あと」と「さき」に決め、どちらかに賭ける、という別の説もある。
    1. [初出の実例]「後(のち)には三枚がるたのおせおせ、四郎三郎は血気にまかせ、銭の有たけ跡(アト)さきにはり」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)八)

こう‐せん【後先】

  1. 〘 名詞 〙 あととさき。前後。先後。
    1. [初出の実例]「庭松独歩咲栄落、林雀群飛争後先」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)五・冬〈藤原忠通〉)

ご‐の‐せん【後先】

  1. 〘 名詞 〙 囲碁や将棋で、後手をひいて損に見えるが、実際は先手を取るのと同じ効果がある着手。

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普及版 字通 「後先」の読み・字形・画数・意味

【後先】こうせん

前後。

字通「後」の項目を見る

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