御前崎(読み)オマエザキ

デジタル大辞泉 「御前崎」の意味・読み・例文・類語

おまえ‐ざき〔おまへ‐〕【御前崎】

静岡県駿河湾遠州灘えんしゅうなだを分ける岬。隆起海食台地で、灯台がある。
静岡県南部の市。観光業、茶やメロンの栽培が盛ん。浜岡原子力発電所がある。平成16年(2004)御前崎町浜岡町が合併して成立。人口3.5万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「御前崎」の意味・読み・例文・類語

おまえ‐ざきおまへ‥【御前崎】

  1. [ 一 ] 静岡県南端、駿河湾を隔てて石廊崎(いろうざき)と対する岬。標高三〇~四〇メートルの隆起海食台地で灯台がある。おんまえざき。
  2. [ 二 ] 静岡県南部の地名。茶やメロンの栽培が行われ、浜岡原子力発電所がある。平成一六年(二〇〇四)市制。

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日本歴史地名大系 「御前崎」の解説

御前崎
おまえざき

[現在地名]御前崎町御前崎

白羽しろは村の東に位置し、駿河湾を隔てて伊豆半島に相対する岬に立地する。北は新庄しんしよう(現相良町)、南は遠州灘に面する。江戸時代を通じて地頭方じとうがた(現同上)の枝郷。寛永一六年(一六三九)の寄鯨につき訴状(白羽神社文書)には白羽村に鎮座する白羽神社は「遠州御前崎白羽大明神」と記され、同社の御旅所が三崎みさきに所在していることから、広義の御前崎は白羽村を含む岬一帯を称し、狭義の御前崎は三崎と称されていたと考えられる。元和八年(一六二二)幕府代官遠山平右衛門は「地頭方村之内三崎山新田」の開発を命じ(「開発手形」松林家文書)、寛永二年には代官福村長右衛門が長太夫に三崎新田の年貢を受領したことを伝えている(「開発手形」下村家文書)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御前崎」の意味・わかりやすい解説

御前崎(市)
おまえざき

静岡県南部にある市。2004年(平成16)榛原(はいばら)郡の御前崎、小笠(おがさ)郡の浜岡(はまおか)の2町が合併、市制施行して成立。国道150号が通じる。市域は遠州灘(えんしゅうなだ)と駿河(するが)湾を分ける形で海に張り出し、南の遠州灘沿いには砂丘が発達している。また、県最南端の岬である御前崎に向かって一帯は、牧ノ原台地の延長にあたり、標高30~49メートルほどの隆起海食台地である。御前崎の東の沖合い約3キロメートルには暗礁があり、古くから航行上の難所であった。江戸時代から灯明(とうみょう)番所が置かれていたが、1874年(明治7)に洋式の灯台が完成、現在も白亜の塔形をした御前埼灯台(国の重要文化財)が岬の最南端に立つ。御前崎港重要港湾に指定(1975)され、大型コンテナ船の接岸できる多目的国際ターミナルをもち、物流の拠点となっている。マグロ、カツオなどの遠洋漁業も盛んである。農業はメロン、トマト、イチゴなどの施設園芸、花卉(かき)栽培を中心に行い、北部では茶の栽培が盛ん。また市内には、池新田、白羽(しろわ)などの工業団地、中部電力の浜岡原子力発電所がある。御前崎遠州灘県立自然公園に含まれる。国指定の天然記念物として、「白羽の風蝕礫(ふうしょくれき)産地」、「御前崎のウミガメ及びその産卵地」があり、御前崎海岸には毎年アカウミガメが産卵にやってくる。面積65.56平方キロメートル、人口3万1103(2020)。

[編集部]



御前崎(岬)
おまえざき

静岡県御前崎市にある岬。岬端(こうたん)は県の最南端にあたり、駿河(するが)湾と遠州灘(えんしゅうなだ)とを分けるように突出する。一帯は牧ノ原台地の延長にあたり、標高30~40メートルほどの隆起海食台地で、第三紀層の相良(さがら)層群の上に白羽礫(しろわれき)層とよばれる海成の円礫層が堆積(たいせき)している。海岸沿いには波食台や岩礁も露出し、宝永地震(ほうえいじしん)(1707)や安政地震(あんせいじしん)(1854)に際しては隆起運動もみられた。東の沖合い3キロメートルほどに御前岩などのある沖御前暗礁があって、航行上の難所であるので、岬端部に江戸時代、灯明(とうみょう)番所が置かれ、イギリス人技師ヘンリー・ブラントンRichard Henry Brunton(1841―1901)によって1872年(明治5)工事着工、1874年に洋式の御前埼灯台(国の重要文化財)が完成した。特別地域気象観測所、無線航路標識などの施設もある。台地周辺ではツバキヤマモモなど暖地性照葉広葉樹の林相に特色があるが、冬の西風が強く、砂丘も発達し、台地西向斜面には風食礫である三稜石(さんりょうせき)があり、「白羽の風食礫産地(しろわのふうしょくれきさんち)」として国指定天然記念物。また、御前崎海岸には毎年アカウミガメが産卵に訪れ、「御前崎のウミガメ及びその産卵地」は国指定の天然記念物である。御前崎遠州灘県立自然公園に指定されている。

[北川光雄]



御前崎(旧町名)
おまえざき

静岡県最南端の榛原郡(はいばらぐん)にあった旧町名(御前崎町(ちょう))。現在は御前崎市の東南端を占める一地区。1955年(昭和30)御前崎村と白羽(しろわ)村が合併して町制施行。2004年(平成16)浜岡(はまおか)町と合併、市制施行して御前崎市となる。旧御前崎町は、国道150号が通じ、区域南端を形成する岬の御前崎は、遠州灘(えんしゅうなだ)と駿河(するが)湾を分ける隆起海食台地である。東方沖合い約3キロメートルに暗礁があり古くから遭難船が多く、現在は白亜の灯台が岬に立つ。マグロ、カツオの遠洋漁業が盛んで、メロン、トマト、花卉(かき)栽培も行う。御前崎港は重要港湾に指定(1975)され、おもに木材や貨物などの集積を行っている。また、潮干狩もできる。

[川崎文昭]


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改訂新版 世界大百科事典 「御前崎」の意味・わかりやすい解説

御前崎[市] (おまえざき)

静岡県南部の市。2004年4月御前崎町と浜岡(はまおか)町が合体して成立した。人口3万4700(2010)。

御前崎市南東端の旧町。旧榛原郡所属。人口1万1569(2000)。遠州灘と駿河湾とを分ける御前崎に位置する。農業と漁業の町で,温暖な気候を生かして,メロン,トマトなどの園芸作物や茶,タマネギ,スイカなどが栽培される。漁場にも恵まれ,カツオ,シラスなどの沿岸・近海漁業が行われ,遠洋漁業も盛んである。1968年御前崎遠州灘県立自然公園に指定された前後から,御前埼灯台(1874初点)付近を中心に県下有数の観光地に発展,古くからの漁港である御前崎港も避難港として整備され,その後,地方港湾,国際貿易港,重要港湾へと進展を続けている。遠州灘に面した海岸は砂丘が続き,天然記念物の三稜石もみられる。

御前崎市中西部の旧町。旧小笠郡所属。人口2万4490(2000)。北部は牧ノ原台地南端にあたり,新野(にいの),朝比奈,比木などの集落が点在し,茶の産地になっている。遠州灘に臨む南部は浜岡砂丘が広がり,池新田と佐倉の2集落が国道150号線に沿って発達する。主集落の池新田は慶長年間(1596-1615)に新野池を干拓した新田である。農業人口の減少や兼業化が進むなかで農業は都市近郊型へと移行し,茶や畜産とともに,温暖な気候と砂地を生かしたイチゴ,スイカなどの施設園芸が行われる。食品加工や繊維工業が立地するほか,電機や輸送機械工場も誘致されている。砂地試験場,ねむの木学園(1997年掛川市に移転),中部電力浜岡原子力発電所などがある。佐倉北部の池宮神社境内の桜ヶ池周辺は桜の名所として知られ,秋の彼岸の中日には納櫃(のうひつ)祭が行われる。
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御前崎 (おまえざき)

静岡県最南端,御前崎市にある岬。駿河湾南西に突出して遠州灘とを分ける。一帯は標高約40mの隆起海食台で基盤は新第三系の相良層群からなり,表面には白羽礫層(しろわれきそう)と呼ばれる風食礫(三稜石)をのせ,周囲は急崖で限られる。白羽の風食礫は1943年天然記念物に指定された。海岸に沿って形成された波食台は地震の際の隆起運動を示し,台地面の断層地形は変動の跡を示す。沖合には沖御前岩礁があり,大陸棚が広く発達している。冬季の西風が強く,遠州灘からの砂が台地上にも吹き上がって御前崎砂丘を形成した。飛砂を防ぐためにクロマツを植林するとともに,風向と斜交して人工斜砂丘で固定し,耕地化が進んだ。かつてはサツマイモの産地で西風を利用したむし切干しは特産であったが,現在は茶園が広い。暖地性照葉樹林のグミ,ツバキなどの植生や台地上の屋敷森にかこまれる集落景観にも特色がある。南部海岸はアオウミガメの産卵地としても知られる。岬端部は湾口部にあるため1874年に洋式白色の御前埼灯台が建てられ,測候所,無線航路標識などもある。1948年避難港として建設を始めた御前崎港は,71年国際貿易港として開港し,75年には重要港湾に指定され,また海岸に沿う道路(臨湾道路など)も整備された。御前崎遠州灘県立自然公園にふくまれ,ホテルや民宿なども建設されてきた。
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百科事典マイペディア 「御前崎」の意味・わかりやすい解説

御前崎[町]【おまえざき】

静岡県南部,榛原(はいばら)郡の旧町。標高40m内外の隆起海食台を占め,岬端に御前崎灯台がある。御前崎港を中心に集落が発達,近海漁業,野菜・花卉(かき)などの栽培を営むが,遠洋漁業は御前崎港が不便なため焼津清水を根拠地とする。遠州灘に面した海岸には砂丘がつづき,白羽(しろわ)地区に三稜石(天然記念物)が生じている。2004年4月小笠郡浜岡町と合併し,御前崎市となる。12.18km2。1万1493人(2003)。
→関連項目駿河湾

御前崎[市]【おまえざき】

静岡県南部,遠州灘に面し,御前崎周辺に位置する市。2004年4月小笠郡浜岡町と榛原(はいばら)郡御前崎町が合併して誕生。国道150号が通じる。65.56km2。3万4700人(2010)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御前崎」の意味・わかりやすい解説

御前崎
おまえざき

静岡県南部,遠州灘駿河湾に臨む地区。旧町名。 1955年御前崎村と白羽村が合体して町制。 2004年4月,浜岡町と合併し御前崎市となる。標高約 40mの隆起海食台地で,台地の南側には遠州灘海岸から続く砂丘列があり,岬端部は海食崖の下に広い平磯 (波食台) がある。中心集落の御前崎は,明治初期からカツオ釣漁の根拠地であったが,現在はマグロ延縄漁船を中心に,焼津に次ぐ遠洋漁業基地となっている。自然条件からみて良港とはいえなかったが,1959年,岬の北側に大防波堤が築かれて避難港が完成した。現在,遠洋漁業のほか,大井川の砂利積み出しや木材 (外材) 移入による貯木場などの諸施設が整えられている。台地上では畑作中心の農業が営まれ,野菜,温室メロンなどを産する。 1975年以降,ホテルや国民宿舎ができ観光地としても発展。白羽の風食礫産地,ウミガメおよびその産卵地は天然記念物。遠州灘沿いの海岸は御前崎遠州灘県立自然公園に属する。

御前崎
おまえざき

静岡県南部,御前崎市にあり,遠州灘に突出した岬。標高 40m前後の隆起海食台地からなる。台地の基盤である新第三紀層泥岩の上に厚さ約 6mの白羽礫層と呼ばれる円礫層が堆積し,東西に延びる細長い砂丘列がある。先端灯台付近の海食崖の下には,広い平磯(波食台),沖合いに御前崎岩礁がある。台地の西傾斜面は冬の強い西風による風食礫である三稜石があり,国の天然記念物に指定されている。御前崎遠州灘県立自然公園に属する。

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