1946年10月7日の法律第34号復興金融金庫法によって設立された全額政府出資の金融機関。〈復金〉と略称される。前身の興業銀行復興金融部(1946年6月設立)を引き継いだものであるが,設立についてはGHQの指導によりアメリカの復興金融会社にならったといわれる。47年1月から業務が開始された。金庫法によれば〈経済の復興を促進するための必要な資金で他の金融機関等から供給を受けることが困難なものを供給することを目的とする〉もので,当初は3ヵ年間の時限立法であった。その業務は資金の融通,債務の引受けまたは保証,社債の応募または引受け,以上に付帯する業務および復興金融委員会が必要と認める業務,という幅広いものであった。一方資金源は原則として政府の出資金からなるはずであったが,財政上の理由から実際に払い込まれたのはごくわずかにとどまり,大部分は復興金融債券の発行によることとなった。復金の活動は47年から49年にわたるが,貸出しは傾斜生産を支えたいわゆる傾斜金融であって,石炭,電力,肥料,鉄鋼の4業種とりわけ石炭業に集中した。また性質別にみると設備投資向けが中心であったが,運転資金ないし赤字融資も少なくなかった。融資の実施には復興金融委員会が当たったが実質的には政府機関としての政策的な判断がつよく作用し,そこに昭電疑獄などが発生する余地もあった。しかし,絶対的に資金不足の当時,対全国銀行貸出しの4分の1ほどの大きさをもち,重点産業には最低金利を適用してその復興を促進し,基礎的資材の価格を低位に維持し,全体としての産業復興の基礎を築いたことは事実である。だが同時に,資金の大部分をまかなった復金債は70%が日銀引受けであったため,いわゆる復金インフレを激化させた。49年度にはドッジ・ライン実施によって貸出しは停止されて貸出金回収,復金債償還がすすめられ,51年12月には復金を解散して,日本開発銀行に引き継いだ。
執筆者:林 健久
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第二次世界大戦後の日本経済復興を目的として、一般金融機関で融資困難な長期の産業資金を供給するため、1946年(昭和21)の復興金融金庫法(昭和21年法律第34号)に基づいて1947年1月に設立された全額政府出資の政府金融機関。復金と略称される。傾斜生産方式に従って、石炭、鉄鋼、電力、化学肥料など基幹産業に集中的に巨額の融資を行い、生産力の回復に大きく寄与した。しかし他方において、その資金の調達を金融債(復興金融金庫債)の発行およびその日本銀行引受け(約64%)でまかなったために、日銀券の増発を引き起こし、インフレーションを招いた。これが復金インフレとよばれるものである。当時は民間金融機関が再建されていないこともあり、復金が資本蓄積の中心にたつこととなり、このため、石炭の設備資金で全体の98%、鉄鋼の設備資金で73%、化学肥料の設備資金で64%、電力の設備資金で93%を復金だけで引き受けることとなった。反面、日銀保有の復金残高は日銀券発行高の33%を占めるに至り、通貨膨張の一大要因となったのである。1949年のドッジ・ラインにより新規貸出を停止し、1952年1月に債権・債務を日本開発銀行(現、日本政策投資銀行)に引き継いで解散した。
[原 司郎]
『復興金融金庫編・刊『復金融資の回顧』(1950)』▽『大蔵省財政史室編『昭和財政史――終戦から講和まで12 金融(1)』(1976・東洋経済新報社)』
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第2次大戦直後の復興資金供給のための政府金融機関。略称復金。1947年(昭和22)1月復興金融金庫法にもとづき開業。第1次吉田内閣が戦時補償打切りにともない全額政府出資で設立。復金は復金債の日銀引受けで調達した資金を重点産業に供給した。この結果復金インフレをひきおこし,ドッジ・ラインにより49年3月に融資を停止され,52年1月に解散。同年開業の日本開発銀行が業務を継承した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…国民経済に必要とされるが民間金融だけでは円滑な資金供給が期待しえないプロジェクトに対し,長期・低利資金の供給を行う。第2次大戦後の経済復興に必要な産業資金を供給する政策金融機関としては1947年〈復興金融金庫(復金)〉が設立されたが,その資金の相当部分を復金債の日銀引受けによって調達したことがインフレ激化の一因となったため,49年以降その新規貸出しは停止された。その後,50年の朝鮮戦争を契機として日本の設備投資活動が活発化したために,開銀が復金を承継して設立された。…
※「復興金融金庫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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