(読み)サン

デジタル大辞泉 「惨」の意味・読み・例文・類語

さん【惨〔慘〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]サン(呉)(漢) ザン(慣) [訓]みじめ むごい
サン
いたましい。みじめ。「惨禍惨苦惨憺さんたん惨落悲惨
むごい。むごたらしい。「惨劇惨烈陰惨凄惨せいさん
ザン
みじめ。「惨敗
むごい。「惨殺惨死

さん【惨】

[ト・タル][文][形動タリ]いたましいさま。また、ひどく悲しむさま。「たる光景」
「―として暗くなった顔」〈芥川偸盗

ざん【惨】[漢字項目]

さん

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精選版 日本国語大辞典 「惨」の意味・読み・例文・類語

みじ‐め【惨】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「見じ目」の意か ) あわれで見るにしのびないこと。まともに見ていられないほど、いたいたしいこと。また、自分がひどく卑小で情なく、屈辱的に感じられること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「子(がき)が出来ちゃアみじめだゼ」(出典滑稽本浮世風呂(1809‐13)前)
    2. 「白いベッドの上に横(よこた)へられた無残(ミジメ)な自分の姿が明かに見えた」(出典:明暗(1916)〈夏目漱石〉二)

惨の派生語

みじめ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

さん【惨】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用ナリ・タリ 〙 いたましいさま。むごたらしいさま。また、心が痛むような悲しいさま。
    1. [初出の実例]「祖先の遺せる小作地を〈略〉他に与ふること惜しく、悲しく、乃ち涙を以てするの意を含めるものとす、何ぞ其の語の惨なる」(出典:日本の下層社会(1899)〈横山源之助〉五)
    2. [その他の文献]〔詩経‐陳風・月出〕

むご【惨】

  1. ( 形容詞「むごい」の語幹 ) むごいこと。感動表現に用いる。
    1. [初出の実例]「むごやつらや情なや」(出典:浄瑠璃・天神記(1714)二)

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普及版 字通 「惨」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)慘
14画

[字音] サン・ザン
[字訓] そこなう・いたむ

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は慘に作り、參(参)(さん)声。〔説文〕十下に「毒なり」とあり、惨酷の甚だしいことをいう。毒は篤(とく)、重篤の状態をいう。參・(さんせん)・(しゆん)の声の字に、酸惨の意をもつものが多い。

[訓義]
1. そこなう、いためる、しいたげる。
2. いたむ、うれえる、やつれる、みじめ。
3. きびしい、むごい、はなはだ。
4. と通じ、かつて、すなわち。

[古辞書の訓]
名義抄〕慘 ウレフ・イタム・カシコマル・ヲシフ・サハガシ・アハレブ・カナシブ 〔字鏡集〕慘 サハガシ・ヲシフ・ウラム・イタム・カツテ・カシコマル・カナシブ・アハレブ・ウレフ

[語系]
慘・tsm、惻tshikは声義が近く、曾dzngは声に通ずるところがあって、慘・をその義に用いることがある。〔詩(魯)、大雅、民労〕「慘(すなは)ちを畏れず」、〔詩、小雅、十月之交〕「胡(なん)ぞ(すなは)ち(とど)まること(な)き」のように用いる。

[熟語]
慘夷惨懌惨焉惨苛・惨・惨害・惨惨覈・惨顔惨虐・惨急・惨挙惨況・惨棘惨兮惨景・惨刑・惨劇・惨酷・惨刻惨剋・惨獄・惨恨惨嗟・惨殺・惨惨・惨事惨爾惨恤惨舒・惨傷・惨状・惨悴・惨悽・惨戚・惨切・惨絶・惨然・惨惻・惨怛・惨淡・惨澹・惨・惨毒・惨白・惨服・惨目・惨戮・惨慄・惨稟・惨凜・惨懍・惨・惨烈・惨冽・惨裂
[下接語]
惨・陰惨・苛惨・酸惨・情惨・凄惨・悽惨・惨・悲惨・無惨・憂惨・労惨

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