慈光院(読み)じこういん

精選版 日本国語大辞典 「慈光院」の意味・読み・例文・類語

じこう‐いんジクヮウヰン【慈光院】

  1. 奈良県大和郡山市小泉町にある臨済宗大徳寺派の寺。山号円通山。寛文三年(一六六三石州茶道の祖、片桐貞昌(石州)が創建庭園名勝史跡指定

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日本歴史地名大系 「慈光院」の解説

慈光院
じこういん

[現在地名]大和郡山市小泉町

富雄とみお川の西側の小丘にある。円通山と号し、臨済宗大徳寺派。本尊釈迦如来。寛文三年(一六六三)小泉藩主片桐貞昌の開基。京都大徳寺一八五世玉舟宗幡を開山として(慈光院明細書)、亡父貞隆の菩提のために建立したものであるという(明応禅師之賀頌)玉石を敷いた参道を通り、中門(茨木門)をくぐった所に茶室および書院(ともに国指定重要文化財、江戸時代初期)がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「慈光院」の意味・わかりやすい解説

慈光院
じこういん

奈良県大和郡山(やまとこおりやま)市小泉町にある臨済(りんざい)宗大徳寺派に属する寺。山号は円通山(えんつうざん)。通称「わびの寺」。本尊釈迦如来(しゃかにょらい)。1663年(寛文3)茶道石州(せきしゅう)流の祖である片桐(かたぎり)石州が父貞隆(さだたか)の菩提寺(ぼだいじ)として、京都大徳寺185世玉舟宗璠(ぎょくしゅうそうばん)を招いて開山とし、寺を建立、1668年(寛文8)から1673年(延宝1)までここに隠棲(いんせい)した。石州の禅と茶が総合された禅寺で、茶室・庭園は「わび」の精神の表れといわれる。書院と茶室は国重要文化財。茶室に付属する蹲踞(つくばい)、書院に付属する手水鉢(ちょうずばち)三つも石州の作で、いずれも国重要文化財に指定されている。庭園は国の名勝・史跡に指定され、花の寺としても名高い。

菅沼 晃]

茶室

1671年(寛文11)書院(方丈)の北東に接して建て増しされた。内部は二畳台目(だいめ)、矩(かね)折りに大きく連子窓(れんじまど)をあけ躙口(にじりぐち)は右手にすこし壁を残してあけられている。茶道口を入るとすぐ左手、客座からはもっとも遠い位置に床(とこ)を配し、「亭主床」の構えをみせている。二本襖(ふすま)で客座と隔てられた二畳の控えの間を含めると全体四畳台目になるが、これは石州がもと京都の屋敷につくっていた四畳台目の間取りとも共通する。個性的な曲がりをみせている中柱(櫟(くぬぎ)皮付き)は、とくに石州の好みにかなったものと伝えられる。

[中村昌生]

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改訂新版 世界大百科事典 「慈光院」の意味・わかりやすい解説

慈光院 (じこういん)

奈良県大和郡山市にある臨済宗大徳寺派の寺。山号は円通山。茶道石州流の始祖である片桐石州が,亡父貞隆の菩提のため,1663年(寛文3)大徳寺の玉舟宗璠を開山にして開創した。石州の禅と茶,また幕府普請奉行としての技術をしのばせる茶室と書院(重文),それに庭園(名・史)があることで有名である。石州は片桐且元の甥にあたり,1万6000石を領した小泉藩主であった。茶道を桑山宗仙に学び,〈わびの境地〉を茶道の本義とする石州流を創し,将軍徳川家綱の茶道師範となって,〈剣は柳生,茶は石州〉と評された。幕府普請奉行も務めたが,晩年当寺に隠棲し,1673年(延宝1)この地で没した。茶室は二畳台目,二畳の次の間付,切妻造杮葺き(こけらぶき)。庭園は枯山水に大刈込の生垣をめぐらし,はるかに大和東山を借景にした雄大なものである。〈佗之寺〉と呼ばれるが,近時は庭園のサツキ,ツバキ,クチナシが四季に咲いて,花の寺としても訪れる人が多い。
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世界大百科事典(旧版)内の慈光院の言及

【片桐石州】より

…遠州のあとをうけ,1665年(寛文5)には家綱の御道具奉行を拝して将軍家の茶道師範となり,《石州三百箇条》を献じるなどして,その茶名があがった。その後,大和慈光院を隠居所として建立し,大徳寺の玉舟宗璠を請じて開山とした。その茶法は《侘びの文》や《自筆案詞》などによって知ることができる。…

【大和郡山[市]】より

…農業は米作を中心に,イチゴ,トマト,ナスなどの野菜類,桃,柿などが栽培される。矢田丘陵には奈良時代の創建になり,満米上人以来の地蔵信仰とアジサイの寺として著名な矢田寺(金剛山(こんごうせん)寺),舎人親王の建立と伝え,厄除け観音で参詣者の多い松尾寺,小泉藩主で茶道石州流の祖片桐石州(貞昌)の手になる庭園(史・名)で名高い慈光院や民俗博物館などがあり,県立自然公園に指定されている。東部の稗田は代表的な環濠集落として知られる。…

※「慈光院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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