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北朝鮮、西北地方の北東部にある道。北は鴨緑江(おうりょくこう)を隔てて中国に接する国境沿いの道で、1949年、平安北道(へいあんほくどう/ピョンアンプクド)から分離して新設された。面積約1万5400平方キロメートル。行政区域は3市(江界(こうかい/カンゲ)、満浦(まんぽ/マンポ)、煕川(きせん/ヒチョン))、15郡。道所在地は江界。地形は高山地が優勢で、道の平均高度700メートルである。東方は狼林(ろうりん/ランニム)山脈が北から南下し、その支脈が西部に残丘を残している。河川はおおむね南方から北へ流れて鴨緑江へ注ぐ。気候は、朝鮮半島で最低気温(零下43.6℃、1933)を記録した中江(ちゅうこう/チャンカン)を含め、年平均気温20℃以上の期間は2か月しかない寒冷な地方である。産業は1945年の解放前は原林伐採や鉱石採掘がおもなものであった。現在は機械工業、鉱業、林業が行われている。北朝鮮最大の煕川工作機械工場は朝鮮戦争中の1951年に創設され、54年初の旋盤機を出し、フライス盤、ラジアルボール盤などの工作機械を生産している。水力資源も豊富で、禿魯江(とくろこう/トクロカン)、江界青年、雲峰の各水力発電所がある。鉱業は和豊の鉛、亜鉛、東方の黒鉛、和平の銅鉱山がある。林業は原木生産と木材加工が行われ、原木は北朝鮮の生産量の4分の1を生産している。その中心地は狼林、竜林である。渭原(いげん)、江界、煕川、前川、城干(じょうかん)にはブタ、アヒル、ニワトリなどの飼育場がある。農業は耐寒性のトウモロコシ、豆類、ジャガイモがおもなものである。また江界、満浦、前川、煕川には、文房具、日用品、醸造業などの地方工業企業体がある。
[魚 塘]
朝鮮民主主義人民共和国の北部内陸の地方。1949年に平安北道(平安道)から分離して設立され,江界市に道都を置く。鴨緑江を挟んで北に中国と接する国境地帯である。東は2000m級の狼林山脈,南は1500~2000mの狄踰嶺山脈でさえぎられた孤立した地域で,江界,楚山など狭隘な山間盆地を除き,ほとんど険峻な山地となっている。年平均気温は6℃あまりだが,1月は-16℃,8月は23℃と年較差が激しい。カラマツ,モミなどの針葉樹林が繁茂する山林資源の宝庫である。また江界周辺には黒鉛,無煙炭などの地下資源の埋蔵がみられる。黄海方面から鴨緑江岸の満浦に至る鉄道が通じており,天然資源が平壌等の工業地帯へ移出されている。近年は禿魯江流域などで水力発電所が大規模に開発され,これをエネルギー源として満浦線沿線の満浦,江界,熙川などにパルプ,金属,工作機械などの諸工業が発達した。内陸部を開発するために,江界から狼林山脈を越えて恵山へ至る鉄道が建設されている。
執筆者:谷浦 孝雄
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「チャガン(慈江)道」のページをご覧ください。
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