デジタル大辞泉 「懇」の意味・読み・例文・類語 こん【懇】[漢字項目] [常用漢字] [音]コン(呉)(漢) [訓]ねんごろ真心がこもること。ねんごろ。「懇願・懇親・懇切・懇談・懇望/昵懇じっこん・別懇」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「懇」の意味・読み・例文・類語 ねんごろ【懇】 [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「ねもころ」の変化した語 )① 心をこめて、あるいは心底からするさま。熱心であるさま、親身であるさま。また、手あついさま。[初出の実例]「愚誠徒らに懇(ネムコロ)にして聖心に愜(かな)はぬ」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))「狩はねむころにもせで、酒をのみ飲みつつ、やまと歌にかかれりけり」(出典:伊勢物語(10C前)八二)「『必ず聞かせ給へ』と、ねんころに聞こえ給へば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)② 心が通じ合って、間柄が親密なさま。交情のむつまじいさま。(イ) 友達として親しいさま。[初出の実例]「ねむころに相語らひける友だちのもとに」(出典:伊勢物語(10C前)一六)(ロ) 男女の間で、親しいさま。仲むつまじいさま。また、情交関係のあるさま。[初出の実例]「ねむころにいひちぎりける女の」(出典:伊勢物語(10C前)一一二)「人のねんころなりしきざみに、なびきなましかばなど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)③ 明らかなさま。本当。[初出の実例]「満財が子、此れを見て懃(ねむごろ)に希有也と思ふ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一)④ 程度のはなはだしいさま。無理やりだ。[初出の実例]「法端可借き由を懃(ねむごろ)に責め云ふ時に」(出典:今昔物語集(1120頃か)七)[ 2 ] 〘 名詞 〙① 思いをかけること。厚情。親切。[初出の実例]「イササカ モ ヲン イカリ ヲ ナシタマワズ シテ、ゴニュウワ ヲ モッテ コラエ タマイ、gonengoro(ゴネンゴロ) ヲ ナシ タマウ ナリ」(出典:信心録(ヒイデスの導師)(1592)三)② ( ━する ) 親密になること。(イ) 友達として親しくなること。親しく出入りすること。[初出の実例]「つねづねねんごろしたる友達きたりて」(出典:咄本・鹿の巻筆(1686)四)(ロ) 男女が情を通じること。情交。[初出の実例]「今までしたるねんごろの、むなしくなる事を、あたらものとおもひ」(出典:評判記・難波物語(1655))(ハ) 男色関係を持つこと。[初出の実例]「此人をねんごろせんとおもへば、先ざうり取につかませよとの取さた也」(出典:評判記・野郎虫(1660)山本万之助)懇の補助注記「ねもこ(ご)ろ」→「ねむころ」→「ねんごろ」と変化した語で、語源については「根‐もころ(=根と等しいものの意)」とする説と「根‐も‐凝(こ)ろ(=根が入り組んでこりかたまっている意)」とする説がある。 ねもころ【懇】 [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 後に「ねもごろ」とも。「ねんごろ」の古い形 ) =ねんごろ(懇)[ 一 ][初出の実例]「おしてる 難波の菅の 根毛許呂爾(ねモコロニ) 君が聞こして」(出典:万葉集(8C後)四・六一九)「いと情しう、ねもころにもてなしはやすべし」(出典:御伽草子・福富長者物語(室町末))[ 2 ] 〘 副詞 〙 入念に。心から。心をこめて。ねもころごろに。[初出の実例]「あしひきの山に生ひたる菅の根の懃(ねもころ)見まく欲しき君かも」(出典:万葉集(8C後)四・五八〇)懇の補助注記⇒「ねんごろ(懇)」の補注 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例