射術を競う朝廷の年中行事である射礼(じやらい),賭射(のりゆみ),騎射(うまゆみ)の前に行う武芸演習をいう。手は射手,結は番(つがう)(2人を組み合わせる)の意味。射手を前後,左右に分け競争させる。射礼(1月17日)の手結は式日の2日前の15日に,兵部省では親王以下五位以上の者30人を選定し,その中から能射者20人をえらび,南門の射場において行い,これを兵部手結という。六衛府の射手は六衛府で簡定しその庁で行う。賭射(1月18日)の手結は左近衛は9日に予行の荒(あら)手結,11日に本番の真手結,右近衛府は11日荒手結,13日真手結を行う。端午の騎射(5月5,6日)の手結は,最初は左右近衛,左右兵衛の四府で行ったが,のち左右近衛府のみとなった。3日左近の荒手結,4日右近の荒手結,5日左近の真手結,6日右近の真手結の順序で行う。この真手結の日を,〈日をりの日〉ともいう。5日,6日は武徳殿においても年中行事としての騎射の儀式が行われた。
執筆者:山中 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
手番とも書く。2人1組の番をつくって競い合わせることを意味するが、とくに騎射・賭射(としゃ)の際、左右衛府(えふ)から出た射手が射技を競うことをさすことが多い。本来、本番に備えた訓練であるが、5月3日に左近衛府(さこのえふ)の荒(あら)手結、4日に右近衛府の荒手結と、予行を行い、5日が左近の真(ま)手結、6日が右近の真手結であった。真・荒とは精粗を示すことばで、両府の真手結の日は「日をりの日」とも称した。平安時代以降の史料にみえるが、武徳殿での騎射の節が廃絶したのちも、大将の主宰する左右近衛府の手結として存続した。また正月の賭弓(のりゆみ)の際にも行われた。
[杉本一樹]
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