手車・輦・輦車(読み)てぐるま

精選版 日本国語大辞典 「手車・輦・輦車」の意味・読み・例文・類語

て‐ぐるま【手車・輦・輦車】

[1] 〘名〙
① 輦(れん)に車をつけ、肩でかつがずに車で運行する乗り物。特に手車の宣旨を受けた皇太子または親王・内親王・女御・大臣などが乗用するもの。れんしゃ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※貞享版沙石集(1283)八「白く清げなる法師を手輿(テグルマ)にかきて」
② 二人が向かいあって、それぞれの両手を組み合わせ、その上に他の一人が乗れるようにしたもの。また、そのようにして歩き回る遊戯。おてぐるま。
※雑談集(1305)二「いざ、この仏、河むかへへ具して行て供養せんとて、手車(テクルマ)にのせて、山河の早く深をわたりけるか」
③ 自家用の人力車
※十三夜(1895)〈樋口一葉〉上「和らかひ衣服きて手車(テグルマ)に乗りあるく時は立派らしくも見えませうけれど」
④ 人の手で押したり引いたりして動かす小形の車。
小学読本(1874)〈榊原那珂稲垣〉五「手車と箒とを持ち街衢を掃除して」
土砂などを運ぶのに用いる、箱に二本の柄のついた手押しの一輪車。
⑥ 近世以降の、玩具の一種。土や木で小さく井戸車の形に作り、その車に糸を巻きつけておき、その糸の端をひくと車が回り、反動を利用すれば、再び糸は車に巻きつく。お蝶殿の輦(てぐるま)と称し、享保一七一六‐三六)の初め頃から売られた。後のヨーヨーと同じ。
※俳諧・毛吹草(1638)五「手車となるや折取風車〈宗房〉」
⑦ 「てぐるま(手車)に乗せる」こと。
[2] 狂言曲名。狂言「鈍太郎(どんたろう)」の狂言記での名称

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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