(読み)ショウ

デジタル大辞泉 「抄」の意味・読み・例文・類語

しょう【抄】[漢字項目]

常用漢字] [音]ショウ(セウ)(呉) [訓]すくう すく
すくい取る。かすめ取る。「抄掠しょうりゃく
書き写す。「手抄
抜き書きする。抜き書き。「抄出抄本抄訳抄録詩抄
注釈書。「抄物しょうもの
紙をすく。「抄紙抄造
[補説]14は「」と通用する。

しょう〔セウ〕【抄/×鈔】

長い文章などの一部を書き出すこと。また、そのもの。ぬきがき。「徒然草―」
古典などの難解な語句を抜き出して注釈すること。また、その書物。「湖月―」「毛詩―」
尺貫法容積単位。1抄は1勺の10分の1。約1.8ミリリットル。→1

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「抄」の意味・読み・例文・類語

しょうセウ【抄・鈔】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 多くのなかから少しばかり書き写すこと。または、そのもの。抜き書き。
    1. [初出の実例]「拾遺抄ぞ抄なれば、十巻に抄せるを」(出典:古来風体抄(1197)上)
    2. [その他の文献]〔南史‐王僧孺伝〕
  3. むずかしい語句を抜き出して注釈すること。また、その注釈書。抄物
    1. [初出の実例]「しゃうに又まうさく」(出典:車屋本謡曲・東岸居士(1423頃))
    2. 「詩の抄なんどに影略互見すると云へる、此心ぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)下)
  4. ( 鈔 ) 金札、銀札、銭札などの紙幣をいう。
    1. [初出の実例]「金と鈔と銭とをもて、雑(まじへ)用ゆべき由を定められ」(出典随筆・折たく柴の記(1716頃)下)
  5. 尺貫法で、容積の単位。勺(しゃく)の一〇分の一。合(ごう)の一〇〇分の一。約〇・〇〇一八リットル。〔書言字考節用集(1717)〕 〔孫子算経‐上〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「抄」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] ショウ(セウ)
[字訓] すくう・かすめる・うつす

[字形] 形声
声符は少(しょう)。少は小さな貝や玉を連ねる意。鈔の別体の字とされるが、鈔は叉取の意。末端をさぐり、すくって取るようなとりかたをいう。抄撮は一つまみ、抄写はぬきがきである。室町期の附訓本を抄物(しょうもの)という。

[訓義]
1. すくいとる、すくう、かすめる、かすめとる。
2. うつす、かきうつす、ぬきがきする、ぬきがき。
3. 紙をすく。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕抄 不弥太(ふみだ)、、豆加牟(つかむ) 〔名義抄〕抄 トル・ヌク・ヌキヅ・カスム・ナブル・スヱ 〔字鏡集〕抄 ミダル・カクス・ナツク・ナブル・ナル・ヤスシ・ヤハラグ・ナヤマス・ナズム・ワヅラハス・ヌキツ・ヌク・ホキ・トル・スヱ

[語系]
抄(鈔)tshe、少sjiは声義近く、少に対して抄は動詞的な語である。

[熟語]
抄案・抄家抄撃抄劫・抄撮・抄紙・抄写抄取・抄集抄襲・抄出・抄書抄窃・抄抄奪・抄・抄盗抄謄抄読・抄白抄暴抄没・抄本・抄名・抄掠・抄略・抄虜・抄録
[下接語]
雑抄・詩抄・手抄・日抄・文抄・別抄・類抄

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android