振るう(読み)フルウ

デジタル大辞泉 「振るう」の意味・読み・例文・類語

ふる・う〔ふるふ〕【振るう/揮う】

[動ワ五(ハ四)]

㋐充実して勢いが盛んである。「国力が大いに―・う」「成績が―・わない」
㋑(「ふるった」「ふるっている」の形で)普通とずいぶん変わっている。当たり前でない。とっぴである。「言いぐさが―・っている」

㋐大きく、また、勢いよく振り動かす。「こぶしを―・う」「刀を―・って敵陣に攻め入る」
㋑思う存分に力を働かせる。十分に発揮する。「権力を―・う」「腕を―・った料理」「インフルエンザ猛威を―・う」
㋒振ってすっかり出す。「財布の底を―・う」
[可能]ふるえる
[下接句]を振るう腕を振るう大鉈おおなたを振るう舌を振るうなたを振るう涙を振るう尾大びだいふるわず筆をふる
[類語](1興る盛る新興勃興/(2振る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「振るう」の意味・読み・例文・類語

ふる・うふるふ【振・奮・揮】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 振り動かす。ゆり動かす。
      1. [初出の実例]「心さわぎて、起ちゐふるひ、紐解きて求むれど、絶えてなければ」(出典:落窪物語(10C後)一)
      2. 「俄に雨降り雷電して、山を振ふ事有り」(出典:今昔物語集(1120頃か)七)
    2. ( 揮 ) 思うままに取り扱う。棒状のものを縦横に駆使して用いる。
      1. [初出の実例]「三蜜の智劔を揮(フルひ)て、麁細執を断つ」(出典:蘇悉地羯羅経略疏寛平八年点(896)七)
      2. 「額は当時の名の響いた画家や文士等が、絹地に一筆づつ揮ったものだった」(出典:あきらめ(1911)〈田村俊子〉二〇)
    3. 十分にあらわし示す。腕力・能力・威力・権力などを発揮する。ふり回す。「熱弁をふるう」「暴力をふるう」
      1. [初出の実例]「獄卒瞋れる目をもて威を振(フルフ)」(出典:守護国界主陀羅尼経平安中期点(1000頃)一〇)
    4. ( 奮 ) 気力をわき起こさせる。勇み立たせる。
      1. [初出の実例]「地より起ちて其の智力を奮(フルヒ)て」(出典:大智度論平安初期点(850頃か)一四)
      2. 「勇気を奮(フル)って」(出典:馬上の友(1903)〈国木田独歩〉)
    5. 残らず出す。全部出し尽くす。すっかりはたき出す。
      1. [初出の実例]「よろづこの度は我宝ふるひてむと宣はせて」(出典:栄花物語(1028‐92頃)浅緑)
    6. 振り動かして払い落とす。
      1. [初出の実例]「三呉の汗を渾(フル)うて雨を為せりと雖も」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)五)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 勢いが盛んである。気力が盛りあがっている。「商売がふるわない」「成績がふるわない」
      1. [初出の実例]「肝心の代言事務は頗る振(フル)はざる方なれども」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉七)
    2. ふつうとは違っている。とっぴである。
      1. [初出の実例]「大仮装行列に至っては、頗る振(フル)ったもので、真に奇想天来のものも少からず」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉三月暦)

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