一般に文部省や日教組などが作成し発表する教育の実情に関する報告書を意味する。元来,〈白書〉という名称はイギリス政府の公式報告書が白い表紙を使っていたことに由来しており,普通には教育の現状や課題をめぐる文部省の報告書を指す。しかし,日教組は1948年に最初の《教育白書》を発表して6・3制の実情と問題点を国民に訴えて以来,教育の民主的充実をめぐる重要な課題や実態を〈白書〉として発表してきており,また各県教職員組合や学校段階でも教育改善の課題や要求を明らかにするさまざまな白書が出されてきている。文部省が〈白書〉として出したものは,59年の《わが国の教育水準》が最初であり,以後同じ名称でほぼ5年ごとに出されているほか,高等教育(1964),社会教育(1965),青少年の健康と体力(1966),私立学校(1967)などその時点での重要なテーマについて白書が発表されてきた。日教組が作成したものは,上述のものに続き,第2次教育白書《ありのままの日本教育》(1950),《日本の学校白書》(1958,61),《日本の教育白書》(1965),《白書日本の教育》(1971)などのほか,シリーズの《教科書白書》などが出されており,教育問題と教育統制の実態を告発する〈黒書〉も出されている。また教育白書に類するものとして,日本子どもを守る会が63年以来毎年発表している《子ども白書》なども,広い意味での教育白書ということができる。
執筆者:深山 正光
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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