デジタル大辞泉
「敷く」の意味・読み・例文・類語
し・く【敷く/▽布く/▽領く/×藉く】
[動カ五(四)]
1 一面に平らに広げる。「絨毯を―・く」
2 一面に平らに並べたり、まき散らしたりする。「畳を―・く」「玉砂利を―・く」
3 物を載せるために平らにして下に置く。下に当てる。「座布団を―・く」
4 下に押さえつける。「女房の尻に―・かれる」
5 設置する。敷設する。「鉄道を―・く」
6 配置をする。「厳重な捜査網を―・く」「背水の陣を―・く」
7 隅々まで行き渡らせる。「箝口令を―・く」
8 広く行き渡る。一面に広がる。「名望、天下に―・く」「松葉が散り―・く古庭」
9 力を広く及ぼす。治める。
「天皇の―・きます国の」〈万・四一二二〉
[可能]しける
[類語]置く・据える・据え付ける・取り付ける
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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し・く【敷・布・藉・鋪】
- [ 1 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 一面に広く、むらなく行きわたる。
- [初出の実例]「聖王、妙(たへ)に天の道つ地の理(ことわり)を達(さと)て、名四表(よも)八方(やも)に流(シケ)り」(出典:日本書紀(720)欽明一六年二月(寛文版訓))
- 「霞しく春のしほ路を見渡せば緑を分くる沖つ白波〈藤原兼実〉」(出典:千載和歌集(1187)春上・八)
- [ 2 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
- ① 上に物をのせるように平らにひろげる。
- (イ) 物を平らにのべ広げる。
- [初出の実例]「葦原の 密(しけ)しき小屋(をや)に 菅畳(すがたたみ) いやさや斯岐(シキ)て 我が二人寝し」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- 「ぬばたまの 黒髪之吉(シキ)て いつしかと 嘆かすらむそ」(出典:万葉集(8C後)一七・三九六二)
- (ロ) その上にすわったり寝たりするために、平らに置く。敷物にする。
- [初出の実例]「野に草敷てまたこぬ人を先にやる」(出典:海道記(1223頃)蒲原より木瀬川)
- (ハ) 下におさえつける。
- [初出の実例]「義貞弓手の足をしかれて、起あがらんとし給ふ処に」(出典:太平記(14C後)二〇)
- 「クルマ、イシナドニ xicaruru(シカルル)〈訳〉車、石などに踏みつぶされる」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- (ニ) 言いなりにさせる。
- [初出の実例]「亭主を尻に敷(シ)く浮虚的(うはきもの)の女房も」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)二)
- ② 物を一面に並べたり、配置したりする。
- (イ) 一面に並べる。広く散らばす。
- [初出の実例]「堀江には玉之可(シカ)ましを天皇(おほきみ)を御船漕がむとかねて知りせば」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇五六)
- (ロ) 配置する。また、敷設する。「陣を敷く」
- [初出の実例]「然し此頃は此の辺にも鉄道が敷かれ」(出典:妹背貝(1889)〈巖谷小波〉春)
- ③ 治める。領する。しる。
- [初出の実例]「天皇(すめろき)の 之伎(シキ)ます国の 天の下 四方の道には」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二二)
- 「クニヲ xiqu(シク)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- ④ 広く及ぼす。また、広く触れ示す。ひろめる。
- [初出の実例]「輪王の慈を以て法王の化を敷(シク)」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七)
- 「基礎的研究をもとに技術独占体制をしく」(出典:現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉II )
- ⑤ 保証のために金銭を出す。
- (イ) 持参金にする。敷銀(しきがね)とする。
- [初出の実例]「残る百両を敷て道場か医者か、兎角身楽なる方へかたづきたきねがひ」(出典:浮世草子・昼夜用心記(1707)三)
- (ロ) 家賃や地代の支払いを保証する。
- ⑥ 述べる。
- [初出の実例]「聊以布二鄙懐一」(出典:谷川士清宛本居宣長書簡‐明和二年(1765)八月四日)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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