文章博士(読み)もんじょうはかせ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

文章博士
もんじょうはかせ

文章道を担当した大学寮の教官。神亀5 (728) 年令外官として設置。定員1人。奈良時代末に淡海三船が大学頭兼文章博士に任じられて以来,急速に権威が高まり,弘仁 11 (820) 年には従来の正七位相当から従五位下相当の官となった。承和1 (834) 年紀伝博士の廃止により,文章博士の定員は2人となった。この頃から天皇,皇太子侍講 (じこう) をも兼ねた。9世紀末から菅原,大江両氏の独占となり,貴族社会の衰微とともに形式化した官職となった。唐名を翰林学士という。

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大辞林 第三版の解説

もんじょうはかせ【文章博士】

律令制の大学の学科の一つである文章科(紀伝道)の教官の長。728年、定員一名で初めて設置。834年、紀伝博士を統合し、定員二名となった。のち、学科として紀伝道の名称が確立すると、紀伝博士とも称せられた。もんぞうはかせ。

もんぞうはかせ【文章博士】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

文章博士
もんじょうはかせ

奈良・平安時代の大学寮紀伝道(文章道)の教官。唐名翰林(かんりん)学士。728年(神亀5)に初めて1人が置かれ、730年(天平2)正(しょう)七位下(げ)と定められた。奈良時代の文章博士には紀清人(きのきよひと)や淡海三船(おうみのみふね)などが就任していたが、平安時代に入り紀伝道が盛んになると、嵯峨(さが)天皇の821年(弘仁12)には位階相当が従(じゅ)五位下となり、教官中の最高位となった。834年(承和1)には紀伝博士(808年初置)が廃され文章博士の定員が2名となり東宮(とうぐう)学士、大外記(だいげき)を兼ねるようにもなり、そのころから菅原(すがわら)、大江の両氏がその地位を世襲するようになった。『史記』『漢書(かんじょ)』『後(ご)漢書』などの三史をはじめ、『文選(もんぜん)』などの中国の詩文を教科とした。「教授」と受験・任官の推薦がおもな職掌であったが、かような職務のほかに文章をつくることが重要な仕事であり、文筆活動としての願文(がんもん)、上表、詩序の制作などに携わっている。平安中期以後しだいに衰退し、中世以後、室町時代には菅原氏系の高辻(たかつじ)以下の諸家が紀伝道の家として、この職を継いでいった。[山中 裕]
『桃裕行著『上代学制の研究』(1947・目黒書店/復刻・1983・吉川弘文館)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

もんじょう‐はかせ モンジャウ‥【文章博士】

〘名〙 令制で、大学寮に属して詩文と歴史とを教授した教官。天平二年(七三〇)設置。平安時代には多く東宮学士、大外記を兼ね、侍講としても仕えた。定員は初め一名、紀伝博士が廃されてからは二名。初め正七位下相当、のち従五位下相当の官に改められた。もんぞうはかせ。
※続日本紀‐天平一三年(741)七月辛亥「従五位上紀朝臣浄人為治部大輔兼文章博士

もんぞう‐はかせ モンザウ‥【文章博士】

源氏(1001‐14頃)夕顔御文の師にてむつまじくおぼすもんさうはかせ召して」

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世界大百科事典内の文章博士の言及

【紀伝道】より

…しかし,一般知識社会においても,特殊な政治・道徳の理論よりも,史書・文章のほうが日常親しみやすいので,その専攻学科の設置が望まれるに至り,紀伝道が生まれることとなった。設置の最初は,奈良時代の半ばころ,728年(神亀5),文章博士(もんじようはかせ)1人が置かれ,ついで730年(天平2)に文章生20人が置かれたのに始まる。やがて平安時代に入ると,紀伝道は急激に隆盛になり,学問の代表的なものとされて,まったく貴族的なものになった。…

【博士】より

…諸博士の知識,技術はいずれも中国のものであった。その後,博士は文章(もんじよう)博士,紀伝博士(のち停止し,文章博士を加置),明経(みようぎよう)博士に分かれ,さらに律学博士(のち明法(みようぼう)博士)がおかれた。平安中期以降,明経博士は清原,中原家,文章博士は菅原,大江,日野家,明法博士は坂上,中原家,算博士は三善,小槻家が主として任ぜられ,家業となった。…

※「文章博士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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