北海道中南部、日高(ひだか)振興局管内の町。1961年(昭和36)町制施行。地名はアイヌ語「ニカプ」(木の皮の意)に由来する。この地のアイヌの着衣がオヒョウ(ニレ)の木の皮でつくられたもので、それが茶褐色を帯びて他と異なったためという。町域はほぼ南北に細長く、新冠川の流域を占める。上流にはダムや発電所があり、下流域は緩斜面が広く、かつて帝室御料牧場として町域の大半が管理されていた。第二次世界大戦後に開放され、流域の河床面、段丘面には農村集落が開け、水稲、カボチャ、メロンなどを産するようになった。また、隣の日高町門別(もんべつ)地区とともに日高の酪農地帯となっている。軽種馬(競走馬)の生産地帯ともなっており、「サラブレッド銀座」と俗称される。太平洋岸には国道235号が通じる。JR日高本線は2021年(令和3)廃止、バスに転換した。河口部は新冠市街で、その北方に、十勝沖地震(とかちおきじしん)で泥水やガスを噴出した新冠泥火山群があり、道の天然記念物に指定されている。面積585.81平方キロメートル、人口5309(2020)。
[柏村一郎]
『『新冠町史』(1966・新冠町)』
北海道南部,日高支庁新冠郡の町。人口5775(2010)。太平洋に注ぐ新冠川流域を占め,北には日高山脈の幌尻(ほろしり)岳(2053m)がそびえ,北東部は帯広市に接する。川沿いに集落が散在し,市街地は新冠川の河口にある。古くは高江村とよばれ,明治初年から大部分が新冠御料牧場(新冠牧場)に含まれ管理されていたが,第2次大戦後,一般に開放された。現在は〈サラブレッドのふるさと〉といわれ,大手牧場が集中し,競走馬を育成するための日高軽種馬共同育成公社もある。平地で米作,スイカ・メロンの栽培,段丘や台地上で酪農が行われる。新冠川は上流に新冠ダムをはじめ4ヵ所の発電用ダムがあり,日高電源開発の中心河川となっている。市街地近くに源義経の伝説を伝える判官館(はんがんだて)跡や,大小8個の泥火山がある。海岸沿いをJR日高本線,国道235号線が通る。
執筆者:山下 克彦
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