(読み)ヨイ

デジタル大辞泉 「宵」の意味・読み・例文・類語

よい〔よひ〕【宵】

日が暮れてまだ間もないころ。古代では夜を3区分した一つで、日暮れから夜中までの間。初夜。「のうちから床に就く」
「―過ぐるほど、すこし寝入り給へるに」〈夕顔
祭りなど、特定の日の前夜。「宮」「山」
[類語]小夜さよさり暮夜ぼや夜間夜中やちゅう夜分やぶん夜陰やいん夜半よわ夜中よなか夜半やはんナイト夕暮れ夕方日暮れ晩方夕べ夕刻黄昏薄暮火ともしごろ宵の口暮れ方イブニング今夕夕間暮れう魔が時大禍おおまがナイトフォール黄昏たそがれ

しょう【宵】[漢字項目]

常用漢字] [音]ショウ(セウ)(呉)(漢) [訓]よい
ショウ
夜。「終宵徹宵
よいのうち。「秋宵春宵良宵
〈よい〉「宵闇よいやみ今宵こよい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「宵」の意味・読み・例文・類語

よいよひ【宵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 日が暮れて間もないころ。また、日暮から夜中までの間。古代では、夜を、よい・よなか・あかときに三区分した。初夜。初更。また、よる。夜間。
    1. [初出の実例]「我が夫子(せこ)が 来べき予臂(ヨヒ)なり ささがねの 蜘蛛の行ひ 今宵(こよひ)(しる)しも」(出典:日本書紀(720)允恭八年二月・歌謡)
    2. 「思ひし事よ。わが父は、はや甲夜(ヨヒ)の間に来給ひけり」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)五)
  3. 祭、特に祇園会などの、夏に行なわれる祭の前夜。
    1. [初出の実例]「祇園会にはじめて呼ければ、〈略〉いとこはつこに至迄、宵(ヨイ)の日よりとまりがけに上りける」(出典:咄本・軽口露がはなし(1691)四)

宵の語誌

( 1 )現在では、夜が始まってしばらくの間の意で用いるが、上代では、「万葉集」で「三更(=夜中の一二時ころ)」をヨヒと読ませていること、中古以降、ヨヒを語素にもつコヨヒという語が丑の刻(=午前二時ころ)までをさして用いられたことなどから、現在より長い時間をさしてヨヒと呼んだと考えられる。
( 2 )本来は、夜が単にヨヒとアカトキの二つに分けられていたところへ、ヨナカという語が現われ、ヨヒの時間が、中古にはより短い時間をさすようになったのではないかとも考えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「宵」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)
10画

[字音] ショウ(セウ)
[字訓] よい・よる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(肖)(しょう)。〔説文〕七下に「夜なり」とし、「宀(べん)は下冥(くら)きなり」とあって、冥い意があるとする。金文字形では、月光のさし入る形かと思われ、(明)が(まど)から月光の入るのと、相似た構造法である。

[訓義]
1. よい、よる、ゆうべ。
2. くらい、おろか。
3. 小さい。
4. と通じ、きぎぬ。

[古辞書の訓]
名義抄 ヨル・クラシ・ウク 〔字鏡集〕 カスミ・ヨル・クラシ・ウク・ヨヒ

[語系]
(消)・霄siは同声。光などが消えて、次第におぼろとなる状態をいう語であろう。

[熟語]
宵靄・宵衣・宵雨宵宴・宵煙・宵雅・宵会・宵宵暉・宵錦・宵形・宵宵警・宵月宵夙宵鐘・宵小宵牀宵燭宵晨・宵寝・宵人宵征宵夕・宵柝・宵中・宵直・宵程・宵魄・宵半・宵匪・宵分・宵昧・宵霧・宵夜・宵露・宵漏・宵話
[下接語]
寒宵・元宵・今宵・残宵・終宵・夙宵・春宵・初宵・晨宵・清宵・中宵・昼宵・長宵・通宵・徹宵・半宵・良宵

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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