(読み)けん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


けん

尺貫法」のページをご覧ください。


日本音楽の用語。間子ともいう。リズム拍節テンポなどを示す。 (1) リズム 音と音との間の味であるが,特に打楽器的性格をもつ邦楽器演奏においては,間隔の微妙な伸縮の取り方が重視される。リズム感のよしあしを示すのに「間がよい」「間が悪い」という。特に謡曲では拍子合 (ひょうしあい) の謡において詞型の基本である七・五調のほか,字余り,字足らずの句も8拍子に納めるために,謡出しの位置を変えて拍節を一貫させるが,そのために各句の直前に生じる空白部分を間といい,それぞれ半声 (はんせい) の間,本間,ヤの間,ヤアの間などの名称がある。 (2) 拍節 近世邦楽の基本の1拍子 (2拍) における第1拍を表間 (おもてま) ,第2拍を裏間という。 (3) テンポ 地歌箏曲の拍子の取り方に,「小間 (こま) 」と小間の1拍を倍の拍に取るゆっくりした「大間 (おおま) 」とがある。速度の速い場合「早間」という。小唄は端唄などよりテンポが速いということから「早間小唄」あるいは「早間」ともいわれた。

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デジタル大辞泉の解説

あい〔あひ〕【間】

物と物とのあいだ。
「―の小門(くぐり)を開けて」〈木下尚江良人の自白
ひと続きの時間。あいま。
「喜ぶ―は少なくて」〈露伴・日ぐらし物語〉
間駒(あいごま)」の
間狂言(あいきょうげん)」の略。
人と人との仲。
「二人ノ―ガ悪ウゴザル」〈日葡
酒席で、二人が酒を飲んでいる中に第三者が入って、一方に代わって杯を受けて飲むこと。
「杯の回りも覚え、―するといふ事も知るぞ」〈浮・一代男・四〉
間(あい)の宿(しゅく)」の略。
間食(かんしょく)をいう女房詞

あいだ〔あひだ〕【間】

二つのものに挟まれた部分や範囲。あいま。「雲のから日がさす」「東京と横浜のを走る電車」
ものとものとを隔てる空間、または時間。間隔。あいま。「をあけて植える」「雷鳴がをおいて聞こえる」
ある範囲の一続きの時間。「眠っているに雨はやんでいた」
物事・現象などの相対するものの関係。「夢と現実のに大きなへだたりがある」
人と人との相互の関係。間柄。仲。「夫婦のがうまくいかない」「労資のをとりもつ」
ある限られた集合や範囲。…の中。「社員のにうわさが広まる」
ある範囲内における双方からみた中間。「をとって三万円にしよう」
(接続助詞のように用いて)原因・理由を表す。現代では文語文の手紙などに用いる。ゆえに。から。ので。「平穏に暮らし居り候御休心くだされたく」

あわい〔あはひ〕【間】

物と物とのあいだ。
「色白の細面、眉(まゆ)の―やや蹙(せま)りて」〈蘆花不如帰
事と事との時間的なあいだ。
「朝の供事(くじ)と夕供事との―に」〈言国卿記・文明十三年〉
人と人とのあいだがら。相互の関係。
「あらまほしき御―どもになむ」〈・桐壺〉
色の配合、取り合わせ。
「濃き衣に紅梅の織物など、―をかしく」〈・浮舟〉
折。機会。
「―あしければ、引くは常の習ひなり」〈平家・一一〉

かん【間】

[名]
物と物、場所と場所とを隔てる空間的な広がり。また、その距離。「天地の」「その約八キロ」「目睫(もくしょう)のに迫る」
ある時点とある時点とのあいだ。あるひと続きの時間。「そのの事情はわからない」「ボールが外野を転々とするに」
すきま。間隙(かんげき)。「多忙のを縫って出席する」「に乗じる」
心の隔たり。「を生じる」
[接尾]名詞に付いて、ある物事・時間・場所と他の物事・時間・場所とのあいだ、人と人との関係などの意を表す。「五日」「東京、大阪」「学校の連絡」「夫婦のもめごと」

かん【間】[漢字項目]

[音]カン(漢) ケン(呉) [訓]あいだ ま あい
学習漢字]2年
〈カン〉
二つの物のあいだ。ある範囲の中。「行間区間空間巷間(こうかん)山間中間民間林間
二つの時点のあいだ。「期間週間瞬間年間夜間
二つのあいだを隔てる。隔たり。すきま。「間隔間隙(かんげき)間接間断間一髪反間離間
ひそかにすきをうかがう。スパイ。「間者間諜(かんちょう)
疑いや非難をさしはさむ。「間然
〈ケン〉
1に同じ。「世間人間(にんげん)眉間(みけん)
長さの単位。約1.8メートル。「間竿(けんざお)九尺二間
〈ま〉「間際間近合間居間雲間谷間手間仲間波間昼間
〈あい〉「間狂言雨間谷間幕間山間
[補説]「間着(あいぎ)間服(あいふく)間(あい)の手」などの「間」は「合(あい)」を代用することもある。
[名のり]ちか・はし
[難読]狭間(はざま)

けん【間】

[名]長さの単位。1間はふつう6尺(約1.82メートル)の長さ。田や土地を測る場合は6尺5寸(約1.97メートル)、室内の畳の寸法では6尺3寸(約1.91メートル)をそれぞれ1間とすることもある。
[接尾]助数詞。
碁盤・将棋盤などの目数を数えるのに用いる。「三とび」「二びらき」
建物の正面の柱と柱との間、また、ひろく四方を柱で囲まれた空間を数えるのに用いる。「三十三堂」
「百八十―の廻廊をぞ造られける」〈平家・三〉

ま【間】

[名]
物が並んでいるときの空間。あいだ。あい。すきま。「車と車とのを置く」
家のひと区切りをなしている部屋。「次のに控える」
畳の大きさを表す名称。「京」「江戸
連続している事と事のあいだの時間。ひま。いとま。「食事をするもない」
話の中に適当にとる無言の時間。「話はが大切だ」
邦楽・舞踊・演劇などで、拍と拍、動作と動作、せりふとせりふなどのあいだの時間的間隔。転じて、リズムやテンポの意に用いる。「をとる」「を外す」
ちょうどよい折。しおどき。ころあい。機会。「を見計らう」
その場のようす。その場のぐあい。
家などの柱と柱との間。けん。
「我は南の隅の―より格子叩きののしりて入りぬ」〈・空蝉〉
[接尾]助数詞。
部屋の数を数えるのに用いる。「六畳と四畳半の二(ふた)
柱と柱のあいだを単位として数えるのに用いる。
「勢多の橋をひと―ばかりこぼちて」〈更級
建物や部屋の広さをいうのに用いる。2をもとにして、縦一間(ひとま)・横一間の広さを一間(ひとま)とする。
「六―の客殿へ跳り出で」〈太平記・一〉
障子の桟(さん)で囲まれた一区切りなど、一定の区切られた空間を数えるのに用いる。
「明かり障子の破ればかりを…なほ一―づつ張られけるを」〈徒然・一八四〉
[下接語]間(あい)の間合間空き間雨(あま)間生け間伊勢(いせ)間板の間田舎間居間岩間・畝(うね)間・江戸間応接間大間奥の間落ち間鏡の間額の間陰間風(かざ)間貸し間株間上(かみ)の間客間京間切れ間雲間下段の間格(ごう)間木(こ)の間小間作間狭(さ)間鞘(さや)の間三の間潮間借間上段の間透き間絶え間谷間近間茶の間中京間中(ちゅう)間ちょんの間束(つか)の間次の間露の間手間殿上の間胴の間時の間床の間土間中の間仲間波間日本間寝間狭(はざ)間階隠(はしがく)しの間梁(はり)間晴れ間半間庇(ひさし)の間一(ひと)間昼間広間深間仏間不(ぶ)間別間本間瞬く間間間雪間洋間欄間

まん【間】

《「ま(間)」の音変化》めぐりあわせ。運。
「―よくば勝軍の場」〈浮・新色五巻書・一〉

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百科事典マイペディアの解説

間【けん】

(1)尺貫法の長さの単位。おもに土地,建物などに使用。の実質的な長さが時代によって異なるため,尺と間の関係もそれに応じて変化しているが,1891年(明治24年)制定度量衡法では1間=6尺(約1.818m)とされた。(2)日本建築の柱間(はしらま),すなわち柱と柱との間。たとえば三十三間堂は柱間が33あるための呼称

間【ま】

日本の音楽,舞踊,演劇などの用語。拍と拍との時間的間隔。転じてリズムやテンポの意にも用いられる。(1)拍の単位の意。伝統的な音楽で1つの拍子を2分割した場合に,第1拍を〈表間〉,第2拍を〈裏間〉という。(2)リズムの意。〈間がのびる〉などという。(3)テンポの意。テンポの早いことを〈早間〉という。

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世界大百科事典 第2版の解説

けん【間】

尺貫法における長さの単位。その起源は定かでないが,日本では中世以来測地用の慣用単位であり,その大きさは太閤検地の際は6尺3寸,江戸時代は6尺1分であったという。1891年制定の度量衡法では6尺(約1.818m)=1間,60間=1町,36町=1里とし,1間四方の面積を1歩(坪)とした。間はまた,中国古来から,柱と柱の間隔をいい,部屋や家屋の広さを表すのに用いた。三宅 史】

ま【間】

人間の行動や表現にとって,リズムは本質的な構成原理であるが,間はそのリズムの変調現象の一種であり,特殊なかたちをとったリズムの現れ方だといえる。通常,リズムはさまざまな脈動,波動,周期運動のなかに見てとられるが,その本質は単なる機械的な拍節の反復ではない。それはむしろ,ひと息の緊張した生命の躍動であって,その流れが拍節の反復によって分断され,勢いを堰(せ)きとめられ,それによってかえって緊張を高めたときに生じる現象だ,と見ることができる。

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大辞林 第三版の解説

あい【間】

「間狂言あいきようげん」の略。
「間駒あいごま」の略。 「 -を打つ」
「間の手」の略。
物と物との間。あわい。 「此の鹿の目の-の/宇治拾遺 7
人と人との間柄。仲。 「二人ノ-ガ悪ウゴザル/日葡」
杯をやりとりし合っている二人の中に入って、第三者が杯を受けて返すこと。
「間あいの宿しゆく」の略。

あいだ【間】

二つのものにはさまれた、あいている部分。中間。 「駅から家までの-に停留所が二つある」 「本の-にしおりをはさむ」 「雲の-から月が見える」 「体重は常に五〇キロから五五キロの-だ」
ある範囲によって限られた一続きの時間。 「七時から八時までの-に食事をとる」 「夏休みの-にまとまった仕事を片付ける」 「勉強している-に夜が明けた」 「長い-かかって作品を仕上げる」
ものとものとを隔てる空間、または時間。間隔。へだたり。ま。 「二、三〇センチの-を置いて苗を植える」 「行ぎようと行との-をあける」 「 -を置いて雷鳴が聞こえる」
相対する二つの対象の関係。 「日本と西欧の-には、歴史や文化に大きな相違がある」 「横綱と大関の-にはあまり力の差はない」
複数の事物が構成する一つのまとまり。 「政治家の-では常識だ」 「生徒の-に流行している遊び」
人と人、ものとものの関係。間柄。仲。 「二人の-は親も認めている」
二つのものの平均。中間。 「双方の主張の-をとって」
大体の範囲。およその見当。あたり。頃。 「やうやう、朱雀の-に、この車につきて/平中 25」 「五六歳に成る-、泥土を以て仏の像を造り/今昔 11
二つの事物のうちどちらか。 「宮中の大臣共を召されて鹿・馬の-を御尋ね候べし/太平記 26
(形式名詞) 活用語の連体形に付いて、接続助詞のように用いる。記録体・和漢混交文に多く用いられた。
単に前の叙述を後の叙述に続ける。ところ。 「鹿を射むと思て待ち立てりし-、俄にわかに虎来て喰らはんとせし時/今昔 1
前の叙述が後の叙述の理由・原因であることを表す。ゆえに。 「後に、さかしき人々書きいれたる-、物語多くなれり/宇治拾遺
[句項目] 間に立つ

あわい【間】

物と物のあいだ。また、あいだの距離。ま。 「下町の雑沓する巷と巷の-に挟まりながら/秘密 潤一郎
時間と時間とのあいだ。時間的隔たり。 「帝相崩之下に四十年ばかり-がありて/史記抄 2
人と人の間柄。相互の関係。 「珍しげなき-に世の人も思ひ言ふべき事/源氏 乙女
色の取り合わせ。配色。 「山吹・紅梅・薄朽葉、-よからず/堤中納言 貝あはせ
おり。形勢。 「 -悪しかりければ引くは常の習なり/平家 11

かん【間】

[1] ( 名 )
あいだ。物事や場所、また時間などについていう。 「生死の-をさまよう」 「その-、沈黙が続いた」 「指呼の-」
好機。 「 -に乗ずる」
気持ちのへだたり。仲たがい。
( 接尾 )
名詞に付いて、「(…と…との)あいだ」の意を表す。物事・時間・空間・人と人との関係などについていう。 「三日-」 「東京・大阪-」 「業者-の取引」

けん【間】

[1] ( 名 )
長さの単位。近世以降一般化した単位。1891年(明治24)、度量衡法に基づいて、一間を六尺(約1.818メートル)とする尺貫法の単位として定めた。1958年(昭和33)以降法定単位としては廃止。 → ま(間)
古く、建物の正面の柱と柱の間のこと。
( 接尾 )
助数詞。
建築で、柱と柱との間を数えるのに用いる。 「三十三-堂」 → ま(間)
碁・将棋で、目数を数えるのに用いる。 「三-とび」

はざま【間】

姓氏の一。

ま【間】

[0] ( 名 )
空間的な間隔。
物と物とのあいだの空間。すきま。 「木の-」 「少し-をあけて座布団を敷く」
家屋内の一区切り。部屋。古代では、几帳きちよう・障子などで区切られた区画も「ま」と呼んだ。 「次の-」 「六畳の-」 「中の-は院のおはしますべき御ましよそひたり/源氏 若菜下
ある物の位置する空間を漠然とさす語。あたり。 「こもりくの泊瀬はつせの山の山の-に/万葉集 428
建物の柱と柱のあいだ。 「御簾どもを、その-に当たりて居給へる人々寄りつつ巻き上げ給ふ/紫式部日記」
時間的な間隔。
事と事とのあいだの時間。ひま。 「出発までにはまだ-がある」 「 -もなく電車が来る」
事が継続しているあいだの時間。ある状態が続いているあいだ。 「休む-もない」 「知らぬ-に行われる」
日本の伝統芸能(音楽・舞踊・演劇など)で、拍と拍(動作と動作)のあいだの時間的間隔。転じて、リズムやテンポの意にも用いられる。 「 -の取り方がうまい」 「 -を外す」
適当な時機。機会。しおどき。 「 -をうかがう」 「 -を見計らう」
その場の具合。雰囲気。 「 -の悪い思いをする」
( 接尾 )
助数詞。
部屋の数を数えるのにいう。 「六畳ふた-のアパート」
柱と柱のあいだを単位として数えるときに用いる。実際の長さは一定せず、平安時代には一〇尺ほどであったが、一五世紀末頃に六尺五寸が多く用いられ、土木における長さの基準となった。これに対し徳川幕府が1649年に一間ひとまを六尺と定めてから主に関東・東北地方で用いられるようになり、しだいに「けん(間)」が長さの単位として定着してきた。 「勢多の橋をひと-ばかりこぼちて/更級」 → けん(間)京間きようま田舎間いなかま
建物や部屋の広さをいうのに用いる。
の長さをいう「ま(間)」をもととし、縦一間ひとま・横一間の広さを一間ひとまとする。 「六-の客殿へ跳り出で/太平記 1
障子の桟さんで囲まれた一区切りなど、一定の区切られた空間を数えるのに用いる。 「なほ一-づつ張られけるを/徒然 184

まん【間】

〔「ま(間)」の撥音添加〕
めぐりあわせ。運。ま。 「悦べ〱、-が直つて来たぞ/歌舞伎・幼稚子敵討」

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単位名がわかる辞典の解説

けん【間】

尺貫法の長さの単位。1間は6尺。約1.818m。日本古来の単位で、主に土地・建物などに用いた。現在では、商取引上での使用が禁止されている。

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精選版 日本国語大辞典の解説

あい‐・す あひ‥【間】

〘自サ変〙 酒を飲みあっている間に入って、杯のやりとりの取り持ちをする。間をする。
※浮世草子・好色一代男(1682)四「盃のまはりも覚(おぼえ)、あいするといふ事もしるぞ」

あいだ あひだ【間】

〘名〙
[一] 二つのものにはさまれた部分。
① 空間的に、二つのものにはさまれた部分。物と物とのま。中間。あいま。あわい。
※万葉(8C後)一一・二四四八「白玉の間(あひだ)(あ)けつつ貫(ぬ)ける緒も縛(くく)り寄すればまたも逢ふものを」
※平家(13C前)一一「陸(くが)と島の間」
② 時間的に、二つの部分にはさまれた時。時間の連続の切れた部分。絶え間。間隔。
※万葉(8C後)一五・三七八五「ほととぎす安比太(アヒダ)しまし置け汝(な)が鳴けば吾が思(も)ふ心いたもすべなし」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「一つつきてあひだのあるは鐘撞(かねつき)も心あり」
③ 人と人との関係。事物相互の関係。間柄。仲。
※書紀(720)神武即位前(北野本訓)「教ふるに天(きみ)(たみ)の際(アヒタ)を以てす可からざることを見て」
※源氏(1001‐14頃)賢木「宮のあひだの事、おぼつかなくなり侍りにければ」
※駅夫日記(1907)〈白柳秀湖〉一二「日本鉄道の曾我とは非常に懇意の間だ」
④ 人と人の間柄が悪くなった状態。紛争。
※東寺百合文書‐ハ・長祿三年(1459)八月二九日・若狭太良庄百姓申状「源権守・法一か間之少免事」
⑤ 二つ以上のもののうちの範囲を表わす。…のうち。…の中で。
※太平記(14C後)二「彼の入道父子が間(あひだ)に一人さし殺して、腹切らんずる物を」
※労働者誘拐(1918)〈江口渙〉「労働者同志の間にはほとんど何の会話も交されない」
[二] あるひとまとまりの部分。
① 空間のへだたり。距離。
※万葉(8C後)一四・三五七一「己妻(おのづま)をひとの里に置きおほほしく見つつそ来ぬる此の道の安比太(アヒダ)
※狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉六「少しく距離(アヒダ)の遠かりしゆゑ」
② 時間的に、限られた範囲。
(イ) 時の経過におけるある範囲。期間内。うち。ほど。
※万葉(8C後)五・七九四「年月も いまだあらねば 心ゆも 思はぬ阿比陁(アヒダ)に うち靡き 臥(こや)しぬれ」
※竹取(9C末‐10C初)「かた時のあひだとてかの国よりまうでこしかども」
※小学教授書(1873)〈文部省〉「二時の間か、又は三時の間、稽古致しますと」
(ロ) 特別の時間でない、普通の時。なんでもない時。
※滑稽本・魂胆夢輔譚(1844‐47)初「間(アヒダ)の洒落る時とは違ふ。用の咄しの時はまじめがいい」
[三] 形式名詞化して用いられる。
① (接続助詞のように用いて) 原因、理由を示す。…によって。…が故に。…ので。
※御堂関白記‐寛弘八年(1011)六月一三日「東宮雑事不閑間、可然令旨等未下」
※宇治拾遺(1221頃)一「道はせばくて、馬何かとひしめきけるあひだ、此の大童子走りそひて」
② 「この間」の形で、漠然とした時を示す。
※拾遺(1005‐07頃か)哀傷・一三二二・詞書「このあひだ病重くなりにけり」
[語誌](1)基本的には、基準となる二つのものが存在し、それにはさまれた部分をいう((一)の用法)。空間(「東京と京都の間」)・時間(「間をおかずに出発する」)どちらの場合もあり、また、そのはさまれた部分は大きなものである場合(「月と地球の間」)、すきまがない場合(「二枚の紙の間」)、抽象的なものである場合(「親子の間」)などがある。それに対し、基準となる二者を明示せずに、そのはさまれた部分を全体として一つのものとしてとらえる用法もある((二)の用法)。「夏休みの間」「花が咲いている間」など。
(2)現代語では(二)の用法は時間的なものに限られるが、古くは空間的用法も存在した。万葉‐七〇〇「かくしてやなほやまからむ近からぬ道の間(あひだ)をなづみまゐ来て」など。
(3)(二)の用法では、「間」の前に用言・助動詞の連体形による連体修飾が来ることが多く、この用法から(三)の用法が派生した。(三)の用法は、記録資料に多く用いられ、中世以後一般化した。

あいだ・む あひだむ【間】

〘自マ四〙 (「あいだ(間)」を動詞化したもの) 間をおく。休む。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)四「無漏の間(アヒタム)こと無き」 〔観智院本名義抄(1241)〕
[補注]「続日本紀‐宝亀八年(777)四月二二日・宣命」の「遠天皇の御世御世、年の緒落ちず間事無く」の「間」も、「あひだむ」と訓じた方がよい例と考えられる。

かん【間】

[1] 〘名〙
① 物や人、または、場所などのそれぞれのあいだ。間隔。また、その空間。
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)松島「船をかりて松島にわたる。其間二里余、雄島の磯につく」 〔礼記‐楽記〕
② 事と事との時間的なへだたり。また、一続きの時間。
※風姿花伝(1400‐02頃)一「舞・はたらきの間〈略〉風度し出ださんかかりを、うち任せて心のままに、せさすべし」
※外科室(1895)〈泉鏡花〉上「医学士の挙動脱兎の如く神速にして聊か間(カン)なく」 〔孟子‐離婁・下〕
③ 人や物事のあいだの関係。仲(なか)
※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉三人上戸「俺アその間(カン)の消息は一向に不知案内だが」
④ よい機会。しお。〔後漢書‐寇恂伝〕
⑤ 心のへだたり。仲たがい。
※園太暦‐貞和五年(1349)閏六月二日「直義卿与師直有間、就之可兵火旨、都人士女騒動」 〔春秋左伝‐哀公二七年〕
⑥ まわしもの。間諜(かんちょう)
[2] 〘接尾〙 ある時間、場所、人、物と、他の時間、場所、人、物とのあいだをいう。
※東京日日新聞‐明治二五年(1892)一月一五日「東京青森間(九月一日)、続て門司佐賀間汽車の開通あり」

かん‐・す【間】

〘他サ変〙 他人の間の仲を悪くさせる。離間するようにしむける。

けん【間】

[1] 〘接尾〙 (撥音を受けるときは「げん」とも)
① 建物の外面、主として正面の柱と柱との間。また、ひろく、四方を柱で囲まれた空間を数えるのにも用いる。
※薬師院文書‐延暦七年(788)一二月二三日・大和国添上郡司解「檜皮葺板敷屋二宇 各四間在東庇」 〔陶潜‐帰園田居詩〕
② 碁盤、将棋盤などの目を数えるのに用いる。「三間飛び」
※洒落本・娼妓絹籭(1791)序「ひらいて大手(おほで)をとる又一っけんにげるあたまから銀とうつ」
③ 建物を数える単位。
※内閣文庫所蔵文書‐天平二〇年(748)一〇月二七日・太政官符案「家 壱区〈略〉地 弐町、墾田 柒町壱段、屋 捌宇、板倉 柒間、価銭柒拾貫文」
④ 兜(かぶと)の鉢を構成する、上が狭く下が広い鉄の板金を縦矧(たてはぎ)にしたものを数えるのに用いる。少ないもので四枚、多くて二四〇枚張り寄せる。
※甲陽軍鑑(17C初)品四〇下「殊更六十二間のかぶとを、同しなひにて打くだきなんど仕る程の上手にて」
⑤ 扇の骨と骨の間を数えるのに用いる。
※浄瑠璃・十二段草子(1610‐15頃か)七「腰より扇をとり出し、三げんばかり押開き」
[2] 〘名〙 長さの単位。ふつう一間は曲尺(かねじゃく)で六尺(約一・八二メートル)にあたる。また、田や土地には六尺五寸、室内の畳には六尺三寸(これを京間(きょうま)といい、田舎間(いなかま)と区別する)を一間とすることがある。平安時代には住宅の柱間は一〇尺程度で不定であったが、鎌倉時代には八尺、室町時代には七尺ほどとなり、応仁乱後ごろから六尺五寸に固定した。
※虎明本狂言・空腕(室町末‐近世初)「十間ばかりある鑓を、四五人ゆすりかけて参る程に」
[補注]長さの単位としては、漁業関係者の間で用いられる「間」がある。大人が両手をひろげた時の長さに相当し、約一五〇センチメートルという。

はざま【間】

姓氏の一つ。

ひ【間】

〘名〙 「ひま(隙)」の古形
※書紀(720)雄略八年二月(前田本訓)「間(ヒ)に乗て脱るること得て」

ま【間】

[1] 〘名〙
[一] 空間的にいう。
① ある物の存在する近くの空間を漠然とさしていう。そば。あたり。
※万葉(8C後)三・四八一「朝霧の おほになりつつ 山城の 相楽(さがらか)山の 山の際(ま)に 行き過ぎぬれば」
② 二つ以上の同質の物のあいだにある空間。あいだ。あわい。
※万葉(8C後)七・一一九四「紀の国の雑賀(さひか)の浦に出で見れば海人(あま)のともし火浪の間(ま)ゆ見ゆ」
③ 連続して並んでいるようなものの中間の、あいている空間。すきま。転じて、人と人との関係に生じた間隙。→間(ま)無し間(ま)無し
※十輪院内府記‐文明一七年(1485)八月九日「武田与所司代有間云々」
④ 建物の柱と柱の間。
(イ) 建物の居住区で二本の柱を一辺とする部分。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「ま一つに臼四つ立てたり、臼一つに女ども八人たてり」
(ロ) 柱間と規格化された畳の寸法との関係を示す名。「京間」「江戸間」など。
⑤ 部屋などの一区切り。古代の家屋は、部屋としての独立した構造を持たないことが多いので、几帳、障子、襖などで区切られた一区画をさしていい、前項の例と区別しがたい場合も多い。部屋がそれぞれ独立して作られるようになると、主として部屋をさしていう。「居間」「次の間」「床の間」など。
※枕(10C終)一八四「次のまに長炭櫃にひまなく居たる人々」
[二] 時間的にいう。
① ある限定された時間的なひろがり。
※万葉(8C後)五・八〇四「蜷(みな)の腸(わた) か黒き髪に いつの麻(マ)か 霜の降りけむ」
② ある動作・状態が継続している時間帯。間(かん)
※万葉(8C後)四・七〇九「夕闇は道たづたづし月待ちていませ我が夫子(せこ)その間(ま)にも見む」
③ 継続していたものが途切れたり中断したりする時間。絶え間。→間(ま)無し間(ま)無し
※海を見に行く(1925)〈石坂洋次郎〉「もしそれが雨降りの夜でもあれば、滴のポトンポトンという音が、語彙に乏しい会話の間(マ)を埋め」
④ 何かをするのに振り当てる時間。機会。
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)四「おいそがしいから、夫で此方へお出なさるお間(マ)がなひので在(あら)ふ」
⑤ 邦楽・舞踊・演劇で、音と音、動作と動作の間の休止の時間的長短をいう。転じて、拍節・リズム・テンポと同意に用いる。
※門三味線(1895)〈斎藤緑雨〉二〇「唄の間(マ)外したで沢山なを未足らぬか儂が肱へぶつかって」
⑥ めぐりあわせ。運。
※歌舞伎・絵本合法衢(1810)五幕「『お亀、与兵衛が勘当のその内に丁度くたばったから、ソレ、殺し手は与兵衛となるワ』『成る程、こいつは好い間(マ)だの』」
[2] 〘接尾〙
① 柱と柱の間を単位として数える時に用いる。実際の長さは一定しないが、六尺から一〇尺ぐらいをさす。室町時代には七尺ないし六・五尺であった。
※枕(10C終)一九三「灯籠(とうろ)に火ともしたる二まばかりさりて」
② (二)①から、建物や部屋の広さをいうのに用いる。一間は、たてよこ一間に一間の広さをいい、五間といえば二間に二間半の広さをいう。
※禁秘鈔(1221)上「一 清涼殿。〈略〉二間。敷畳二帖
③ 部屋の数を数えるのに用いる。「三間の家」
④ 一定の区切られた空間を数えるのに用いる。障子の桟で囲まれた一区切など。
※徒然草(1331頃)一八四「明り障子〈略〉なほ一間づつ張られけるを」

まん【間】

〘名〙 (「ま(間)」の変化した語。一説に「間(ま)」と「運(うん)」とが結びついたものとも) はずみ。まわり合わせ。めぐり合わせ。しあわせ。運。
※評判記・吉原用文章(1661‐73)一三「きのふは御こし候はんのよし、まんに候へとも」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内のの言及

【石見検地】より

…江戸幕府の代官頭大久保石見守長安が実施した検地。徳川家康の関東入国以来,大久保長安は1590年(天正18)9月武蔵国多摩郡経久郷(府中市)の検地を上限として検地を行うが,石見検地という場合,通常は慶長年間(1596‐1615)に武蔵,甲斐,美濃,越後,石見などに実施した検地をいう。石見検地は300歩を1反とし,従来の1間=6尺5寸を6尺1分に短縮し打ち出しの強化をはかったが,反面地域によっては旧来の貫文制を踏襲した検地も行った。…

【検地竿】より

…間竿(けんざお)ともいう。太閤検地以来,検地の際に使用された測量用具で,検地のことを竿入・竿打などともいった。…

【検地条目】より

…太閤検地も当初はまだ従来の慣習を踏襲するところがあったが,数年の施行過程をへてしだいに統一規準を設ける方向にすすみ,1589年(天正17)には検地条目の体裁をもった秀吉朱印状が出された。これは5間×60間=300歩を1反とすること,上田は京枡1石5斗(約270.6l),以下2斗(約36.1l)下り,上畑は1石2斗,以下2斗下りなどの斗代とすること,検地役人の非法禁止など,将来の検地条目の根幹となる内容5ヵ条からなっている。その後検地条目は毎年のように出されていき,最もまとまった94年(文禄3)の12ヵ条に至っている。…

【尺】より

…したがって1尺は約30.303cmであり,分量単位は1/10尺の寸,以下十進法による分(ぶ),厘,毛である。倍量単位は寸法用と距離・間隔用に分かれ,寸法用の倍量単位は10尺に等しい丈,距離用の倍量単位は6尺の間(けん),60間の町,36町の里である。(2)鯨尺の尺。…

※「間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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