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そま

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


そま

古代,材木採取のために指定された山を杣とか杣山といい,杣山から切出す材木を杣木または杣といった。転じて杣木を切出す人を杣人あるいは杣という。東大寺文書,『万葉集』などに散見する。江戸時代初期にはすでに杣=伐木,木挽 (こびき) =造材,日用 (ひよう) =運材の3分化がみられた。名古屋藩の杣組織は一定の統制のもとにあり,その長を杣頭とか庄屋と称し,木曾 30ヵ村内について林業を司り,杣頭の下に張付 (小庄屋あるいは副頭ともいう) ,杣,炊 (かしぎ) がおかれた。杣や杣夫の名称は,明治以後も伐木,造材労働者の呼称として通用してきたが,これは日本資本主義が農業制度をはじめ封建的な諸制度の残存を強く継承していた結果である。

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百科事典マイペディアの解説

杣【そま】

律令国家や寺社が,宮都や寺社の造営・修理用材を確保する目的で指定した山林。代表的なものは東大寺造寺のための伊賀国板蠅(いたばえ)杣,平安京造営時の丹波国山国(やまぐに)杣など。
→関連項目葛川久多荘

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大辞林 第三版の解説

そま【杣】

木を植え育てて木材をとる山。杣山そまやま
山から木材を切り出す人。きこり。杣人そまびと。杣夫そまふ
杣山から切り出した木。杣木そまぎ

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


そま

林木の茂る山、木材採取の山の意から転じて、伐木作業、さらには伐採、造材に働く「杣人(そまびと)」の名称ともなった。古代文献にみえる「杣」はおもに寺社・宮殿の用材伐採地で(玉滝杣、田上杣、甲賀杣など)、のちにそれらは伐採従事の農民を含めた一種の荘園(しょうえん)ともなっていった。しかし中世以後は杣人(木こり)の意に多く用いられて造材職人の主体とみられ、運材夫(日用(ひよう))、造材夫(木挽(こびき))に対し、伐採職人をおもにさすようになる。この三者の分業はすでに近世初期には一般化していた。大山林の伐採にあたる「杣夫(そまふ)」は、杣頭(そまがしら)(庄屋(しょうや))に統率された作業組をつくり、帳付(副頭)、小杣(欠損木の補修)、炊夫(かしき)などの特殊働きを含めて厳しい規律の仕組みをつくりあげ、山中に久しく独自の集団生活を営んできた。各自独自の「木印(きじるし)」を設定して、伐木の識別に資し、伐採作業は個別ながらも、集団の厳しい規律に従って作業にあたった。また杣人同士には種々特異な仲間規律もあって、農民とは別趣の労働生活を山中に展開してきた。それゆえ杣人にはまた特殊な山の神信仰もあり、特異の禁忌伝承もあった。しかし、今日そのおもかげはほとんど消失した。[竹内利美]

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