日本大百科全書(ニッポニカ) 「松之山」の意味・わかりやすい解説
松之山
まつのやま
新潟県南部、東頸城郡(ひがしくびきぐん)にあった旧町名(松之山町(まち))。現在は十日町(とおかまち)市の西部を構成する。旧松之山町は1958年(昭和33)町制施行。2005年(平成17)十日町市に合併。国道353号、405号が通じる。旧町域は東(ひがし)川、越道(こしみち)川、渋海(しぶみ)川が北流し、信濃(しなの)川水系の支流をなす。集落は本・支流の大地すべり面の棚田(たなだ)に依存し、県下一の豪雪地すべり地帯である。1962年の浦田(うらた)大地すべりでは、越道川支谷で幅2.4キロメートル、長さ3.6キロメートルにわたる大地すべりがおこり、371戸の民家と4.3平方キロメートルの耕地が被害を受けた。山峡の棚田は天水田が多く、収穫も不安定で、季節労働に依存せざるをえず、年々過疎化に悩まされている。県境の高原は直峰(なおみね)松之山大池(おおいけ)県立自然公園に指定され、温泉(松之山温泉)、スキー場に恵まれ、観光開発に力が注がれている。1月15日に行われるすみぬり祭は有名。松之山の大ケヤキは、天然記念物に指定されていたが近年、根元の老化で倒壊の危険が出たため伐採され指定を解かれた。跡地には記念碑が立てられた。
[山崎久雄]