(読み)いちさかき

精選版 日本国語大辞典 「柃」の意味・読み・例文・類語

いち‐さかき【柃】

〘名〙 植物ひさかき(柃)」の異称
古事記(712)中・歌謡後妻(うはなり)が 肴(な)乞はさば 伊知佐加紀(イチサカキ) 実の多けくを こきだひゑね」
[補注]語源は、「いち」は神聖な、また、勢い盛んななどの意の「いつ(厳)」で、「さかき」は「栄(さか)木」で、神聖な木または、繁茂する(めでたい)木の意。

ひ‐さかき【柃】

〘名〙 (「ひめさかき」の変化した語) ツバキ科の常緑低木または小高木。本州、四国、九州、沖縄のやや乾いた山地に生える。高さ約三メートル。葉は短柄をもち二列に互生し長さ約三~八センチメートルの楕円形で縁に細鋸歯(きょし)がある。雌雄異株、時に両性花をつける株がある。早春、葉腋に紫白色で鐘形の小さな五弁花が下向きに咲く。果実は球形紫黒色に熟す。枝・葉をサカキ代用として神前に供える。材は器具、薪炭用。灰汁(あく)は媒染料。漢名、柃。いちさかき。ひさぎ。《季・春》 〔十巻本和名抄(934頃)〕

ひ‐ささぎ【柃】

〘名〙
① 植物「ひさかき(柃)」の異名。〔文明本節用集(室町中)〕
② 植物「あせび(馬酔木)」の異名。〔大和本草(1709)〕

ひさぎ【柃】

〘名〙 植物「ひさかき(柃)」の異名。〔字鏡集(1245)〕

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デジタル大辞泉 「柃」の意味・読み・例文・類語

ひ‐さかき【×柃】

サカキ科の常緑低木。山地の乾いた所に自生。葉は密につき、長楕円形で先が鈍くとがる。雌雄異株。春に白い小花が束になって咲き、黒紫色の実を結ぶ。サカキの代わりに神事に使う地方もある。庭木にする。 花=春》「あしらひて―の花や適ふべき/風生

ひ‐ささき【×柃】

ヒサカキの別名。
アセビの別名。

ひさぎ【×柃】

ヒサカキの別名。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「柃」の解説

柃 (ヒサカキ)

学名:Eurya japonica
植物。ツバキ科の常緑低木・小高木,園芸植物

柃 (ヒササギ)

植物。ツツジ科の常緑低木,園芸植物,薬用植物。アセビの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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