重症黄疸で死亡した新生児の脳内、とくに基底核に黄色の色素沈着が認められたことから命名されたが、現在では血清中にタンパク非結合性のビリルビンが上昇し、神経細胞膜と結合して生ずる中枢神経障害に対してよばれる。血中の総ビリルビン量が1デシリットルにつき20ミリグラム以上になると発生することが多い。また、新生児に低酸素症やアシドーシスなどがあると発生しやすく、脳底部の皮質下核が冒されやすい。臨床的には新生児に筋緊張の低下、多眠、食欲不振など不定症状が現れ(1~2日間)、ついで筋強剛、後弓反張(体を反り返す姿勢)、けいれん、モロー反射の消失など、いわゆる痙(けい)性症状と発熱とがみられる(1~2週間)。その後これらの症状が消失し、落陽現象すなわち座らせた姿勢から急に上体を後ろへ倒すと、黒目がちょうど太陽が地平線へ沈むように下向きに下がる現象を示し、やがて恒久性の錐体(すいたい)外路系の症状(アテトーゼ型の脳性小児麻痺(まひ))、聴力障害、歯の黄染、歯のエナメル質異形成などを示す。Rh式血液型不適合(Rh陰性の母親がRh陽性の児を妊娠した場合)のほか、ABO式血液型の不適合でもみられる。治療としては、少なくとも初期の不定の症状を示す間に交換輸血を行う。症状が進行してからでは、効果は期待できないことが多い。
[坂上正道]
新生児期に黄疸が非常に強くなって,血液中に増加したビリルビンが脳内に入り込み,神経細胞の核に黄疸性着色が起こり,ついで変性・壊死を起こすために起こる病気。血液型不適合による新生児溶血性疾患や未熟児に起こりやすい。症状は黄疸が最も強くなる時期に現れる。初期にはぐったりして元気がなくなり,お乳を吸わなくなる。1~2日のうちに手足をかたくつっぱって,頭を後ろにそらせ,目つきはうつろで,痙攣(けいれん),発熱,嘔吐,呼吸障害などを起こす。発病後5~6日で死亡することもあり,生き延びても脳性麻痺になる。この病気は新生児黄疸がある程度以上強くなると起こるから,黄疸の強さを注意深く観察し,必要なら血液中のビリルビン濃度を測定する。400~700
μmの波長の光を皮膚に照射するとビリルビンが分解されるので,黄疸が強くなるのを防ぐために,光線療法といって蛍光灯で光をかける方法が行われる。血液中のビリルビン濃度が核黄疸を起こす危険限界に達したら,交換輸血を行って核黄疸の発現を予防する。
→黄疸
執筆者:奥山 和男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(2)体質性黄疸 先天性の高ビリルビン血症を総称する。そのうち,クライグラー=ナジャール症候群は,新生児にみられる高度の非抱合ビリルビン血症で,核黄疸を起こし早期に死亡する。病因は肝臓のビリルビン‐グルクロン酸抱合にあずかる酵素(UDP‐グルコニルトランスフェラーゼ)の欠損による。…
※「核黄疸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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