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森戸事件 もりとじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

森戸事件
もりとじけん

1919年 12月東京大学経済学部の学術機関誌『経済学研究』創刊号に,経済学部助教授森戸辰男が発表した論文『クロポトキンの社会思想の研究』をめぐる筆禍事件。学内右翼団体興国同志会の上杉慎吉教授らの働きかけにより,20年1月森戸は発行人の大内兵衛助教授とともに新聞紙法違反,朝憲紊乱条項の適用により起訴され,教授会により休職を命じられた。公判の結果は,森戸が禁錮3ヵ月,罰金 70円,大内が禁錮1ヵ月 (執行猶予2年) ,罰金 20円であった。この事件は学界をはじめ言論界にいたるまで,政府の思想弾圧事件として広く反響を巻起した。

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百科事典マイペディアの解説

森戸事件【もりとじけん】

1919年末東大経済学部助教授森戸辰男が《経済学研究》創刊号に掲載した論文〈クロポトキンの社会思想の研究〉から起こった筆禍事件。上杉慎吉教授ら右翼がこれを危険思想と宣伝し,翌年1月,森戸および編集発行名義人大内兵衛助教授が朝憲紊乱(びんらん)・新聞紙法違反で起訴され,休職処分をうけ,雑誌は回収となった。

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世界大百科事典 第2版の解説

もりとじけん【森戸事件】

東京帝国大学経済学部助教授森戸辰男(1888‐1984)が同学部紀要《経済学研究》の創刊号論文《クロポトキンの社会思想の研究》によって新聞紙法の朝憲紊乱罪違反に問われ,1920年1月に起訴され,禁錮2ヵ月・罰金70円に処せられた筆禍事件。紀要編集発行名義人の助教授大内兵衛も禁錮1ヵ月・罰金20円(執行猶予2年)の刑をうけた。上杉慎吉や右翼団体興国同志会らは同論文を危険思想であると喧伝し,経済学部教授会は両人の休職を決議するなど,原敬首相兼法相,平沼騏一郎検事総長らの強圧に屈した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

森戸事件
もりとじけん

東京帝国大学経済学部助教授森戸辰男(たつお)の筆禍事件。森戸が、1920年(大正9)1月1日付けの同学部内経済学研究会機関誌『経済学研究』第1巻第1号(実際は前年12月下旬に出版)に発表した「クロポトキンの社会思想の研究」が、上杉慎吉(うえすぎしんきち)教授を指導者とする興国同志会の策動により危険思想と攻撃され、政府もこれを問題として、1月10日森戸は休職処分を受けた。14日には森戸と編集署名人の同学部助教授大内兵衛(ひょうえ)が起訴された。3月3日の東京地裁、6月29日の東京控訴院の有罪判決のあと、10月22日大審院で上告棄却の判決が下された。新聞紙法第42条朝憲紊乱(ちょうけんびんらん)罪により森戸は禁錮3か月・罰金70円、大内は禁錮1か月(執行猶予1年)・罰金20円に処され、両人ともに東京帝大を失職し、森戸は11月4日に下獄した。学内の森戸擁護の声は小さかったが、言論人や黎明(れいめい)会などを中心に、世論は学問思想の自由に対する弾圧であるとして反対した。[佐藤能丸]
『我妻栄他編『日本政治裁判史録 大正』(1969・第一法規出版)』

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