様だ(読み)ヨウダ

デジタル大辞泉 「様だ」の意味・読み・例文・類語

ようだ〔ヤウだ〕【様だ】

[助動][ようだろ|ようだっ・ようで・ように|ようだ|ような|ようなら|○]用言、助動詞「れる」「られる」「せる」「させる」「ない」「たい」「らしい」「ます」の連体形体言、一部の副詞格助詞「の」の付いた形、コソアド系の連体詞に付く。
ある事物の性質・状態が他の事物に似ている意を表す。「今日は真夏のような暑さだ」
例示の意を表す。「隣のおばさんのような働き者は少ない」
(主に文末に用いて)不確かな、または婉曲えんきょく断定の意を表す。「この機械はどこも故障していないようだ
(多く「ように」の形で)ある動作・作用の目的・目標である意を表す。「わかりやすくなるように並べかえましょう」
(「ように」の形で)婉曲えんきょくな命令・希望の意を表す。「開始時刻に遅れないように」「今後ともよろしくご指導くださいますように
(「ようになる」の形で)以前の状態から変化した結果として、今の状態があるという意を表す。「やっと泳げるようになった」
[補説]「ようだ」は、形式名詞「よう(様)」に断定の助動詞「だ」の付いたもので、中世末期以降の語。語尾「だ」は「じゃ」となることがある。中世から近世にかけては、終止法として「よう(様)なり」の音変化「ような」の形で用いられることも多い。4は、「気をつけるようにします」のように、「ようにする」の形で決意努力の目標を表すこともある。また、45は「よう」という形でも用いられる。
[類語]みたいだみたいみたいですようですそうだそうですらしい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「様だ」の意味・読み・例文・類語

よう‐だヤウ‥【様だ】

  1. 〘 助動詞 〙 ( 活用は「ようだろ・ようだっ、ようで、ように・ようだ・ような・ようなら・〇」用言・助動詞の連体形、「この・その・こんな・同じ」などの連体詞、および体言に連体助詞の付いたもの、「の」で受けられる連体句などに付く ) 比況の助動詞。
  2. 述語として、不確実な断定、断言することを避ける気持を表わす。語調を和らげるのに用いる。
    1. [初出の実例]「さし汐がだいぶはやいやうだ」(出典:洒落本・郭中奇譚(1769)舩窓笑語)
    2. 「いよいよ左様(さう)なるやうならば、素の通りに室町の店を開きませう」(出典:人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)三)
  3. ある事物を示して、それと同じ性質、状態であることを表わす。
    1. (イ) 比喩として用いる。同類のものをあげて、性質・状態を説明する。
      1. [初出の実例]「ワキヲ ミレバ カカヤキワタル キンランノ yǒde(ヤウデ)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
      2. 「馬は海の鴎を追ふかのやうに尻尾を振り振り走った」(出典:夏の靴(1926)〈川端康成〉)
    2. (ロ) 一類、同類に属することを表わす。同類のものの中から一つを取り上げて例示とし、代表させる。同類中の一例として扱い、そのものだけを問題にすることを避ける気持を表わすことが多い。
      1. [初出の実例]「それにハア、お前がたの様(ヤウ)な江戸衆にゃア」(出典:洒落本・道中粋語録(1779‐80頃))
  4. 主として連用形「ように」の形で用いる。→語誌( 4 )
    1. (イ) 行動の基準となる方法、状態、形や目的を表わす。
      1. [初出の実例]「タチノ ミエヌ yǒni(ヤウニ) ウエヲ ワラデ ツツンデ〔惚け物語〕」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
    2. (ロ) あとの述語の部分を省略して、その部分の受持つべき願望、他人への希望、勧奨、命令、依頼などの意を和らげて表わす。
      1. [初出の実例]「すゑずゑは、金銀などをあきなうやうにとぞんずる」(出典:狂言記・羯鼓炮碌(1660))

様だの語誌

( 1 )「ようだ」は、形式名詞の「よう(様)」に断定の助動詞「だ」の結合したものであるが、その活用は、形容動詞に等しい。ただし、連体助詞「の」や「が」を受ける点では、一語の助動詞としてよいか、文法上の取扱いに問題はある。
( 2 )「だ」の語尾は「じゃ」をとることがある。
( 3 )中世から近世にかけては、「ような」の形で終止法として使われる例も多い。「中華若木詩抄‐上」の「其竹の翠が、天をも掃ふやうなぞ」、「虎寛本狂言・鈍太郎」の「久々で参たれば、よ所へ来た様な」、「伎・一谷坂落‐二」の「わしもこなたをみたやうな」など。
( 4 )の用法については、語尾の「に」を切りすて、語幹相当の「よう」だけを用いることがしばしばある。「古道大意‐下」の「彼等が目に物見するやう、何分よろしく頼むと申した所が」など。
( 5 )丁寧体としては「ようです」が使われる。「ようです」の活用は、形容動詞の丁寧体の場合と同じく、「でしょ・でし・です」の三形を用いる。そのほか、形容動詞と同様、文終止の表現として、「ようである」「ようでございます」「ようね」「ようよ」などの形が用いられる。「人情・春色江戸紫‐初」の「身につまさるるやうですねへ」、「出家とその弟子〈倉田百三〉一」の「さながら忘れてゐたものを思ひ出したやうでした」、「好人物の夫婦〈志賀直哉〉一」の「何だか段々嫉妬が烈しくなるやうよ」、「藪の中〈芥川龍之介〉」の「死骸のまはりの竹の落葉は、蘇芳に滲みたやうでございます」、「菜穂子〈堀辰雄〉一七」の「明さんは羨ましいほど、昔と変らないやうね」など。
( 6 )江戸時代に「(を)見るようだ」「(を)見たようだ」の表現が比喩に用いられ、その「見たようだ」から現代の「みたいだ」を生じた。「洒・辰巳之園」の「何だか、雨落のきしゃご、見たやうに、しゃれのめすよ」など。

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