しかし尼子氏の権力を背景とした守護代隠岐氏による隠岐国支配が強まるなかで、一宮など在地諸勢力との矛盾が激化したようで、享禄三年(一五三〇)から天文元年(一五三二)にかけて大きな変動が訪れる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
水若酢命(みずわかすのみこと)神社とも。隠岐(おき)国の一宮(いちのみや)で島根県隠岐郡隠岐の島町郡(こおり)に鎮座する。延喜(えんぎ)式内社(名神大)で旧国幣中社。兵火などにより古文書、縁起が失われたため、創建や祭神には未詳の点が少なくない。寛政(かんせい)年中(1789~1801)の文書によれば、創建は仁徳(にんとく)天皇の時代である。水若酢命を祀(まつ)り、中言神(なかことのかみ)、鈴御前(すずごぜ)を配祀(はいし)する。『続日本後紀(しょくにほんこうき)』承和(じょうわ)9年(842)9月14日条に官社に列した記事がみえ、『隠岐国神名帳』は神階を正四位上と記す。幕末に国学者中西毅男(たけお)が当社内に膺懲館(ようちょうかん)を建て尊王攘夷(じょうい)を唱えたことが、後の隠岐騒動につながっていった。社家は忌部(いんべ)氏の世襲。例祭は5月3日。この日隔年で行われる水若酢神社祭礼風流(ふりゅう)は県の無形民俗文化財に、本殿は国の重要文化財に指定されている。境内の東隅と北隅に古墳が各1基ある。
[平泉隆房]
『水若酢神社編『水若酢神社』(2005・学生社)』
島根県隠岐郡隠岐の島町の旧五箇村に鎮座。水若酢命を主神とし,中言神,鈴御前を配祀する。創建年代不詳。社伝では崇神天皇のとき,伊後(いご)の海岸に水若酢命が上陸,捧羽山(ほうばさん)を経て現在地よりやや西北の地に移り,当地方を開発,のち奉斎されたが洪水にあい現社地に遷座したという。境内に隠岐最大の古墳があり,また付近に古墳の点在する沃野に鎮座。延喜の制で名神大社。のち隠岐国一宮。旧国幣中社。例祭5月3日。隠岐造の現社殿は1795年(寛政7)に造営された。
執筆者:鎌田 純一
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